【エンジンオイルは柔らかめ ウォッシャー液は原液で!】 厳選 冬のメンテナンス術 11選

 冬は想像以上にクルマにキビしい季節。氷点下のなかでエンジンがかからない! なんてことがもし起こったら大変である。冬に備えてのメンテナンスもやはり大事だ。

 メンテといっても特別難しいことは何もない。ここをケアしておけば、トラブルなしに快適に冬のドライブを楽しめる! 何より愛車とともにより長く過ごしていける! というポイントを伝授していこう!

※本稿は2015年のものに適宜修正・追記を加えています
文:鈴木伸一/写真:AdobeStock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2015年1月26日号


01. エンジンオイルはチェックして交換は柔らかめに

 省燃費オイル指定の近年のクルマは冬だからといってエンジンオイルに注意する点は特にないが、昭和世代の古いクルマは粘度指数で最適な使用環境は変化するため注意が必要だ。

 例えば、夏場にヒートぎみなら「20W-40」や「15W-50」といった硬めのオイルを、セルの回りが重くなる冬場は「10W-30」といった柔らかめを選定する。

 もしも夏場にヒートぎみで固めのオイルを選定していたなら、柔らかめのオイルに交換しておきたい。そのままでは朝一番の始動時にクランキング抵抗となり、エンジンが回りにくくなる可能性があるからだ。

硬めのオイルが入っているクルマの場合、冬は柔らかめのオイルに交換しよう

02. ウォッシャー液は原液を入れる

 ウィンドウウォッシャー液にも一般に凍結防止効果がもたされているが、夏場は原液1に対して水2〜3で薄めて使用する。

 このように規定の限界まで薄めた場合、凍結防止効果はほぼなし。真冬なら都心でも窓ガラスに噴射したとたんに凍りつくことがあるので注意!

 都心でも冬場はせいぜい1対1、寒冷地であれば原液での利用が原則だ。ただし、製品によっては原液で使用したとしても凍結防止効果が得られないものがあるので、購入時は要注意。

「凍結防止効果」をうたっている凍結防止用ウィンドウォッシャー液を選定することが大切で、現在使用している物の素性が不明だったら全量交換しておきたい。

オイルの量と汚れ具合は普段から確認しておきたい

ウォッシャー液は凍結防止効果のあるものを冬場は原液で補充して濃くして使用

03. 冷却水(LLC)は劣化していないか?

 エンジンの冷却を担っている冷却水には「LLC」と呼ばれる不凍液が使われている。水は凍ると体積が増えるため、もしも冷却水が凍ったりしたら冷却経路が破損してしまうからだ。

 ただし、その凍結防止効果には2年間(従来LLC)という寿命があるのだ。また、凍結防止温度は水との混合比率(30〜60%の範囲)によって変化する。

 このため、2年以上経過して劣化したり、水だけの補充で薄まっていると凍る可能性があるので注意! 正常なら透明な緑色あるいは赤色で、茶色く濁っていたら劣化している証拠。リザーバータンク内のLLCが変色していたら交換したい。

リザーバータンク内のLLCの量と変色具合を確認。交換は整備工場などで5000円程度

[豆知識 01] 冬にバチッとくる静電気を防ぐには?

 空気が乾燥する冬場にはクルマから降りてドアに触れた瞬間「バチッ」とショックをうけることがよくある。これの原因はシートとの摩擦によって発生して身体に溜まった「静電気」にある。

 このクルマから降りる時の静電気防止策は、足を地面につく前にクルマの金属部分に触れてから降りること。クルマに放電されてバチッとこない。また、市販の静電気防止グッズを利用するのも簡単な解決策だ。

地面に足をつける前にドア開口部の金属部分などを触りながら降りると静電気を防げる

04. もちろんバッテリーもチェック!

 メインテナンスフリー化が進んだ近年のクルマは冬だからといって特に気にする部分はないが、昭和世代や平成1桁台の古いクルマとなると話は別。燃料が気化しにくく始動性が低下する冬場は、暖かな季節ならそれほど問題とはならない些細な不具合が始動不能など大きなトラブルの引き金となりやすいのだ。

 このため、エンジン回りの基本的な部分をひと通りチェックしておくことが何よりも大切。特に注意したいのがバッテリー。

 バッテリーは極板とバッテリー液(希硫酸)の間に起きる化学反応によって電気を貯めたり放出しているため、気温が下がると活性化が鈍って能力が低下してくる。しかも、始動時に要求される電力は暖かい季節より高まるため、ターミナルの緩みといった些細なトラブルが始動不良の原因となるのだ。

 当然、寿命末期のバッテリーでは要求に応えられず、バッテリー上がりをより起こしやすくなる。もしもセルの回りが弱々しいなどヘタリの兆候が現われていたなら、迷うことなく交換したい。

バッテリー液が規定値内にあるかを確認。減っている場合は補充液を補充

バッテリーの寿命はわかりづらいこともあるが、2〜3年が交換の目安

05. ファンベルト、スパークプラグもチェック!

 バッテリーは走行中常に充電されている。その充電を担っているのがオルタネーターで、ファンベルトで駆動されているため、張りが緩むと充電量が不足してバッテリー上がりを誘発するので注意! 緩みやベルトの劣化によるスリップが生じていないか点検しておきたい。

 また、スパークプラグには高温・高圧という極限の状況下で強い火花を飛ばすことが要求されるため、些細な不具合が着火性能に大きく影響、「始動不良」や「加速不良」を引き起こす。が、滅多に交換しないパーツゆえ、10万km前後走っていたなら予防整備として交換しておきたい。

古いクルマはスパークプラグの交換が必要な場合もある

ファンベルトは緩みや劣化による細かなひび割れがないかをチェック

06. シールラバーは保護&艶出し剤でコーティング!

 スキー場などの寒冷地で駐車する際、ドアのシールラバー面に付着した雪を放っておくと車内に残っていた暖気で溶けて隙間に広がり、一昼夜経過したら凍結。ドアが貼り付いて開かなくなることがままある。

 シールラバーが劣化してくると水分を弾かなくなり、ベタっと貼り付くようになるからだ。そのような水分の貼り付きを防止するため「アーマオール」などの浸透性・保護・艶出し剤をたっぷり塗布しておきたい。

 水分が流れやすくなることで凍結しにくくなり、残った水分が凍結したとしても薄い氷の膜になるだけで簡単に剥がれるからだ。

シールラバーは保護剤を塗ると水を弾きやすくなり、凍結によるドアの貼り付きなどを防げる

[豆知識 02] 最新ディーゼル車も注意! 凍結しやすい軽油は寒冷地で給油

「軽油」には低温になるとワックスが析出し始め、一定量を超えるとゼリー状に変化して流れなくなるという特性がある。  そんな状態になれば当然、燃料供給はストップするため、外気温に応じて流動点が異なる1号/2号/3号/特3号といった種類がある。

 例えば、冬場の北海道地区では流動点がマイナス30℃以下の極寒冷地用「特3号」が売られているが、その時期の東京で売っているのはマイナス10℃以下の「2号」だ。このため、首都圏から寒冷地に向かう時は要注意! 現地で燃料を補給するよう計画を立てる必要がある。

BMWをはじめ最近は輸入車もクリーンディーゼル車が増えた。マツダはCX-5で初搭載してからクリーンディーゼル車が人気。オーナーは気をつけたい

07. エアクリーナーを交換して始動性を向上!

 エンジンの吸気系入り口には、空気中の細かなチリやホコリを取り除いてきれいな空気を供給する働きをする「エアクリーナー」が装着されている。

 ところが、使用していれば当然汚れ、限界に達すれば詰まって通気が悪くなる。そんな状態では吸入抵抗となるため、「始動不良」や「エンジン不調」の原因となってしまう。が、意外に点検・交換を怠りがち。簡単に点検できるので心当たりがあったらチェックしておきたい。

 点検方法は上蓋を外して取り出し、目視確認するだけで、できれば新品を用意しておきたい。比較することで汚れ具合が明確になり、必要ならその場で交換できて手間が省けるからだ。

エアクリーナーの点検は意外と簡単。予備を買っておいて、汚れていたら交換しよう。自分の目で見て確認できるので安心だ

08. ウィンドウの「内側」を磨いてくもり止め

 ウィンドウの内面が「くもる」のは外気と内気の温度差や湿気に主な原因がある。

 この「くもる」という現象、ガラスの表面に細かな水滴が無数に付着した状態で、ガラス表面が汚れているとより発生しやすくなる。汚れの粒子が水分を取り込むからだ。

 このため、きれいに磨いておけば防止することができるのだ。ただし、これも状況によりけり。1人乗車での近所の買い物程度なら問題ないが、人の吐く息で車内の湿気が高まることも大きく影響するからだ。例えば内気循環で長い時間走ったり、乗車人員が多ければ多いほど湿度は高まり、ガラス面で冷やされた水蒸気が水滴となって付着する。

 そこで、このような状況が想定される時は、事前にくもり止めを塗布しておきたい。

ウィンドウケアでは外側はガラス撥水剤を塗ると雪などで凍結しにくくなる

09. エアコンも冬は除湿暖房の作動をチェック!

 ウィンドウ内面に塗布するくもり止めの効果は、それほど長くは続かない。時間が経過してガラス全体が汚れに覆われてしまえば元の木阿弥だからだ。

 また、シーズン中、常にくもり止め処置されているとは限らないわけで、くもりやすい状況下で人を乗せることだってある。そのような時は温度を下げずに除湿できるカーエアコンの「除湿・暖房」機能が役に立つ。

 設定方法は暖房の設定でACスイッチをONにするだけで、クーラー機能が正常に動作していればすみやかに解消できる。念のため、冷房設定で冷気が吹き出されるか確認しておきたい。

冬も雪が降るような寒い日は窓ガラスがくもりやすい。視界が悪くなるので、キレイにしておきたい

エアコンは夏だけでなく、冬も除湿暖房で窓のくもりを止めることができるのでチェック

10. エンジン内の清浄は意外と手軽にできる!

 燃料噴射装置のスロットルや噴射ノズルにはワニスやガムといった燃焼時に生じる汚れが溜まりやすく、エンジン不調や燃費の悪化を引き起こす原因となる。

 このため、ある程度の距離(5万〜6万km)を走っていたなら市販の「エンジンコンディショナー」でクリーニングしておきたい。エンジンを2000回転に保ちながらスロットルボディと吸入ダクトの隙間から20〜30秒間スプレー後、エキゾーストから白い煙が出なくなったら終了だ。

吸気系や燃焼室内部に推積したガンコな汚れを分解・除去してくれるスグレモノ

11. スタッドレスもサマータイヤもタイヤチェックは大切!

 スタッドレスタイヤには通常の摩耗限度表示のほかに「プラットホーム」と呼ばれる雪道を走る冬タイヤとしての摩耗インジケーターが設置されていおり、摩耗するとブロックパターンをつなぐ橋のような部分が現われる。もしも、これが現われていたらニュータイヤに交換する必要があるので注意! 要確認だ。

 また、近年のタイヤはパンクしても空気が完全に抜けない限り走れてしまうため、意識してチェックしないと不具合に気付かないのが現実。手がかじかむ寒空の下でのパンク等の対処は辛いだけ。空気圧低下や異物のかみ込みなど問題が生じていないか確実にチェックしておきたい。

タイヤの溝に異物が挟まってないか確認(左)スタッドレスタイヤの溝内にある突起物が現われるほど摩耗したら交換時期(右)

extra. 愛車をいたわるそのほかのメンテ

 雪国の幹線道路には塩化カルシウムを主成分とした「融雪剤」がまかれている。これにより雪を溶かし走行の安全が確保されているわけだが、塩分はボディーの大敵サビを促進させる。

 このため、帰省やスキーなどで降雪地域を走った後は、日をおかずに洗車して塩分混じりの泥汚れをキッチリ落としたい。特に、普段目の届かない足回りや下回りの汚れは確実に落としておくことが大切だ。

 また、外気と内気の温度差が大きいと「結露」が発生する。窓ガラスの内側に水滴が付着する、あの現象で燃料タンク内にも発生。水はガソリンと混ざらないためタンクの底に溜まってくる。そんな水分が燃料ラインに吸い込まれるとエンジン不調の原因となるため、年数を経過した未対策のクルマだったら念のため水分を流動化させる「水抜き剤」を投入しておきたい。

降雪地域では融雪剤(塩化カルシウム)がまかれているので、走った後は下回りを洗車することが大切。洗車場の高圧洗浄機を利用するのもいい


【番外コラム】 雪道ドライブにありがちなトラブルにも備えよう!

 雪道を走ったり駐車させると、都心部では思いもよらなかったトラブルに遭遇する。このため、事前の対策が必須! 以下のような部分にも注意したい。

●スノーブレードに交換する……複数のアームをトーナメント状に組み合わせた一般的なワイパーブレードで雪の中を走ったり駐車するとアーム作動部に雪が詰まって凍結、拭き取り能力が悪化する。このようなトラブルを防止するためアーム部分をラバーで覆った冬用ワイパーが「スノーブレード」。雪道を走るなら事前に交換しておきたい。

●ガラス撥水剤を塗布する……ウィンドウにガラス撥水剤を塗布すると雪が溶けても貼り付くことなく流れ落ちるため凍結しにくくなり、積もった雪も落としやすくなる。雪道を走るならブレード交換ついでに塗布したい。

●タイヤチェーンは常時積載……都心のドライバーは雪が降り出してから慌ててタイヤチェーンを探しまくる傾向にあるが、そんな時に都合よくピッタリのサイズが見つかることは稀。雪が降る気配がなくても事前にタイヤチェーンを用意し、トランクに積みっぱなしにしておきたい。

●降雪地では解氷剤が必需品!……寒冷地に一昼夜止めておくとガラス面が氷結することがままある。都心でも寒冷前線が通過した夜間に同様の現象が起きやすい。そんな時持っていると便利なのが解氷剤。サァーとスプレーするだけで視界が確保できるので車載しておきたい。

●濡れた衣類対策……衣服に付着した雪が熔けてシートが濡れるのを防止するため、シートに「防水スプレー」を塗布、足元には「バケットタイプのフロアマット」をセットしておきたい。

●トラブル対策……さまざまな応急処置に役立つ「針金」、「ガムテープ」、「ビニール袋」、「けん引ロープ」、「予備の乾電池」などを用意してトランクに入れておく。

バッテリー上がりのトラブルの多い冬場に常備しておきたいのがブースターケーブル

シートに防水スプレー……雪は服にも付着しやすいのでシートは防水スプレーを塗っておくと、雪や水滴が染み込む前に拭き取れる

雪が降ると靴に雪が付着してフロアは思った以上に濡れてしまう。バケット型のフロアマットに交換したい

タイヤチェーンは使う前にちゃんと装着できるかを確認

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