ホンダの軽自動車「Nシリーズ」の第1弾として、2011年に登場したN-BOX。販売台数で首位を走り続け「絶対王者」の貫禄を見せつけている。Nシリーズは拡大を続け、2012年にN-ONEを発売、2013年にはN-WGNを発売させた。登場するクルマは次々にヒットし、ホンダのブランドイメージを一新している。
Nシリーズはホンダにとっての救世主となったのか。本稿では「Nシリーズ」がホンダの販売店に与えた影響について考えていく。
文/木村俊之、写真/HONDA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】王道のN-BOX 個性的なN-ONE…Nシリーズの4車種をギャラリーでチェック!!(33枚)画像ギャラリーNシリーズがホンダの乗用車販売に与えた影響とは
軽自動車販売で6年連続首位を獲得したN-BOXの存在が、ホンダのブランドイメージを「良い軽自動車を作るメーカー」にしたのは明らかだ。あとに続くNシリーズも好調で、ホンダの軽自動車人気に拍車をかけた。
いっぽうで、ホンダを代表するオデッセイ・シビック・CR-Vは国内販売を終了せざるを得ないほどに低迷した。Nシリーズの人気は、ホンダ乗用車の存在感を薄め、登録車販売の減少に大きく影響している。
筆者は実際に、20代〜30代のユーザーから「ホンダの乗用車ってどうなの?」という声を耳にすることも多かった。なかには、軽自動車しか販売していないと思っているユーザーもいたほどだ。
これでは、性能が良いクルマだと熱弁しても、ユーザーに興味すら持ってもらえない。登録車を「欲しい」と言ってくれるユーザーがいなければ、売ることは難しく、営業マンも頭を抱えることになる。
しかし、悪い影響ばかりではない。Nシリーズが成功したことで、ホンダのコンパクトカーに箔がついた。「ホンダはコンパクトカーが強い」と印象付けたことは、Nシリーズがホンダに与えた良い影響である。
時代に合わせた販売がホンダの特徴? ホンダのブランドイメージの変化
かつては「エンジンのホンダ」と言われ、CR-XやS2000、NSXなどのスポーツカー(登録車)が印象的だった。しかし現在では、ブランドイメージが「コンパクトカー」に傾いている。N-BOXやフリードなど、コンパクトなクルマが主力車種になったことで「ホンダの持ち味はなくなってしまったのか?」と心配する声も聞こえてくる。しかし、その心配には及ばないと筆者は思うのだ。
ホンダは、時代に合わせたクルマ作りをしている。今の主流はスポーツよりコンパクトだ。ユーザー思うブランドイメージが主流のクルマと合っていることは、時代に合わせたクルマ作りが成功している証である。
これまで、ホンダのブランドイメージは、「スポーツ」そして「ミニバン」へと移り変わってきた。
50代以上の中高年層が思い描くホンダのブランドイメージはスポーツカーだろう。「クルマは人生のステータス」といわれてきたこともあり、走りの良いホンダのクルマに憧れた人も多いはずだ。
30代から40代では、ミニバンやSUVが脚光を浴びる。走りに期待ができないと思われていたミニバンに、これまでのブランドイメージであるスポーツを組み合わせて登場したオデッセイは、大ヒットを記録する。ミニバンブームをけん引する1台となった。
そして現代、維持費が低減でき実用性の高いコンパクトカーが求められるようになった。フリードやヴェゼルでコンパクトなミニバン・SUVをヒットさせ、時代を牽引している。
ホンダの持ち味はエンジンによる、運転の楽しさや走りのよさがあげられる。しかし最大の良さは、ブランドイメージの変化にとらわれずに、時代のニーズに合わせた「ユーザーファースト」なクルマを作りができることにほかならない。
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