レビン/トレノvsシビック そしてサンバー…忠義を尽くして戦い続けたクルマたち

■“打倒スカイライン”の御旗のもとに

とかくスカイラインというクルマは、一方的に“仇討ち”の対象となる運命を背負ってしまっているかに見える。

というか、他メーカーにしてみればとにかく倒しておきたい敵なのだろう。スカイラインを打ち倒すことで、「スカイラインより凄いクルマ」という世間からの評価が得られる。それが「殿」に絶大なる富と栄誉をもたらす、という図式だ。

3代目セリカが5代目スカイラインジャパンに「名ばかりのGT」というCMキャッチコピーでかみついたのは有名な話。

その後、6代目R30スカイラインにはセリカXXが、また三菱からはスタリオンGSRがシリウスダッシュで「2L最強」を争うなど、ますます激化の様相を辿っていく。

逆に言えばそれだけスカイラインは「偉大な壁」だったということだろう。

セリカの挑戦を受けて立った5代目スカイライン

ところが7代目スカイライン、彼らの挑戦をかわし、一方的にマーク2を敵と見なして勝負を挑む(あえなく返り討ち)というトホホな展開に。

それでもその後16年ぶりに復活したR32型は、果し合いを挑んできたトヨタ スープラ、三菱 GTOを見事に返り討ち。殿への変わらぬ忠義を尽くしている。

■忠義の魂で戦い敗れ去ったストリーム

忠義と恨み(!?)を賭した戦いといえば、ホンダスのトリームとトヨタ ウィッシュとの壮絶なシェア争いをおいて他にあるまい(ほんとか)。

2002年7月誕生のストリームは、新タイプの5ナンバーミニバンとして瞬く間に人気車に。月販6000台近くを売っていたが、2003年1月にトヨタウィッシュが登場のすると、まるで謀られたかのようにお客を奪われてしまった。

2003年1月の月販台数はストリームの3101台に対し、ウィッシュは1万6208台。すっごい数字の差! たしかに、その数字に裏打ちされるかのような完成度の高いクルマではあったのだが……。

初代トヨタウィッシュ(上)と初代ホンダストリーム

このままではホンダ(殿)の面目が丸つぶれに。「このままでなるものか!!」と、ホンダの開発チームはウィッシュの上をいかんと2代目ストリームを完成させる(2006年7月)。

直後、9月の月販台数はストリームの1万187台に対しウィッシュは7091台。殿と、そして自らのプライドのため、ストリームがついに積年の恨みを晴らした瞬間なのである(嗚咽)。

こちらは2代目ウィッシュ

しかししかしだがしかし。栄華はそう長く続かない。2代目ウィッシュの登場後、ストリームの販売は下降線。ついに2014年5月、生産停止と相なった。ホンダは2015年2月にジェイドなる新参者が現れるまで、車高の低いミニバンモデルが一旦消滅することとなるのである。

■お家に富をもたらした忠義のクルマたち

長らく続く販売台数の低下など、お家(自動車メーカー)が苦しい局面、大ヒットを飛ばし忠義を示したクルマたちもまたある。

たとえば5代目ファミリア。33カ月連続で同モデルの前年同月比を超えるなど、大ヒット。1回目COTYにも輝き、その前の4代目は今再び映画『幸せの黄色いハンカチ』で武田鉄矢が乗っていたクルマとして脚光を浴びる。殿もさぞかし鼻高々だったことでしょう。

初代オデッセイ

また、初代オデッセイはまさに殿が苦しい時に売れに売れた孝行&忠義グルマ。それまでの国産車にはなかったパッケージングは、その後他社も参考にするほど。

初代キューブも同様。カルロス・ゴーン来日前夜の1998年、日産が厳しい日々を刻んでいた頃に誕生。発売約10カ月で累計生産台数が10万台を突破するなど大ヒット。「よくぞ尽くしてくれた」と当時の塙社長が言ったとか言わなかったとか……。

初代キューブ。いずれも殿(メーカー)の救世主的な存在だった

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