「楽しさの演出」でしか、シフトノブの存在意義はない
少し前のAT車のシフトノブに備わっていたO/D OFFスイッチは、大いに役立つアイテムだった。「O/D OFF」スイッチは、下り坂などで軽いエンジンブレーキをかけたいときや、高速道路などでブレーキランプを点灯させずにやんわりとした減速をしたいときなどに使用することを目的としていたもの。
4速ATの場合だと、「O/D OFF」で、4速のオーバートップから、3速のトップに落とし、エンジンブレーキを利かせることができた。シフトノブに手を置いたまま、目視をせずに、O/D OFFスイッチを指先でぽちっと操作できたので、視線移動もなく扱いやすかった。
現在は、コンパクトカーに主流のCVTの場合だと、B(「ブレーキ」のB)やS(「スポーツ」のS、日産の先代ノートでは「スマート」のS)レンジを採用している場合が多いのだが、電制シフターで、「Bレンジ」や「Sレンジ」に入れるのは、慣れないと案外難しい。プリウスは、シフトノブを右→下に動かすと「Dレンジ」、シフトノブを下に動かすと「Bレンジ」と方向が違なるので、初見の直感では分かりにくいこともある。
シフトノブの存在価値を考えると、5段以上の多段AT車での、シフトノブを左右に倒して前後方向でシフトアップ・ダウンを行う操作では、ちょっと昔のレーシングカーを運転しているかのような雰囲気もあり、パドルシフトとはまた違う面白さを味わうことができた。MT車同様に、AT車のシフトノブも、このような「楽しさ」を演出する意味でしか存在価値がなくなっていくだろう。
シフトノブ以外にも、サイドミラーやサンバイザーなどが消える可能性が
シフトノブ以外にも、サイドミラーの代わりにデジタルインナーミラーが登場していたり、インナードアハンドルも、ハンドルでなく電子ラッチで開閉する(ハンドルも備わっているが)ようになっていたりと、技術の進化によって姿を消し始めたデバイスが増えてきている。将来的には、ギアセレクター自体がステアリングホイールに直付けになったり、サンバイザーも調光機能のフロントガラスに置き換わったりと、さらに消えてゆくアイテムも登場するはずだ。
技術の進歩は楽しみでもある反面、寂しい面もある。ただ、「クルマを運転する楽しさ」だけは、どこかで残ってほしいと思う。
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