「シフトレバーがないクルマ」増加中!! 次に消えるクルマ装備は…サイドミラー?

「シフトレバーがないクルマ」増加中!! 次に消えるクルマ装備は…サイドミラー?

 BMWの主力モデルであるBMW 3シリーズ、現行モデルは2019年に登場したG20型だ。2022年9月のマイナーチェンジで、これまであったシフトノブを廃し、プッシュ式とスイッチ式のギアセレクターへと変更された。2022年4月に登場した新型BMW7シリーズでも、同様のギアセレクターとなっており、今後はBMWのスタンダードデザインになっていくものと考えられる。

 BMW以外にも、シンプルなストレート式ギアセレクターをやめ、シフトノブ自体を消すメーカーも増えてきた。なぜシフトノブは消えたのだろうか。また、シフトノブがあったほうがいいことはあるのか。シフトノブ以外に消えそうな装備とともに、ご紹介しよう。

文:吉川賢一
写真:BMW、TOYOTA

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シフトノブは「古臭い」

 昨今、シフトノブを完全に消すまではいかないが、ギアセレクター自体を小型化しているクルマが多い。プリウスをはじめとするトヨタ車全般や、日産車などに増えてきたのが、セレクトレバー式のギアセレクターだ。上下や左右に動かしてシフトポジションを選び、手を離すと元の位置へと戻る構造で、シフトポジションはメーター内のデジタル表示で把握する(セレクトレバーに表示されるものもある)。コンパクトであることから、レイアウト性に優れ、レバー自体のデザインも自由度が高いのがメリットだ。

 しかし、メーター内表示が確認しにくく、シフトポジションの確認がしづらいケースもあり、また、クルマによっては操作方向がわかりづらく操作ミスをしかねない、などのデメリットがある。

 また、ホンダ車では、プッシュ式のギアセレクターが採用されているモデルがある。NSX(2016-2022)、レジェンド(2015-2022)、インサイト(2018-)、ステップワゴン(2022-)はプッシュ式セレクターだ。2022年10月に日本発売となり、その独創的なデザインでいま話題のシトロエン「C5 X」もプッシュ式のセレクター。デザインやレイアウトの自由度が向上し、先進性を演出できる、というメリットがある反面、プッシュ式では、ボタンを並べる面積が必要であり、ボタンが増えることでコストも上がる。また、シフトダウンのために、パドルスイッチなどの他の機構が必要となるというデメリットもある。

 ほかにも、スバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」や、シトロエン「ベルランゴ」/プジョー「リフター」などでは、ダイヤル式セレクターを採用している。セレクトレバー式でもプッシュ式でもダイヤル式も、一長一短があるのが現状だが、現在のクルマのシフトは、機械的に繋がっていない「シフトバイワイヤ」式のギアセレクターが主流であるため、シフトノブがあろうとなかろうと、ギアセレクトができる機構であれば特に問題はない。

 もっとも基本的で古典的なシフト方式で、シフトノブのあるストレート式のギアセレクターは、コストが安い(構造がシンプル)ことや、操作が直感的で分かりやすい、シフトポジションがどこにあるか目視ですぐ分かる、力を入れやすい、長らく使われてきたので馴染んでいる、といったメリットがある。優れたデバイスではあるのだが、オールドスタイルの象徴でもあり、どこか古臭い。

 また、シフトノブが動くセレクターの範囲が大きくなりがちで、レイアウト性もよろしくない。ノブのある古臭いデザインから脱したい自動車メーカーは、コストをかけてでも、セレクトレバー式でもプッシュ式でもダイヤル式を採用することで、他メーカーと差別化したいのだ。

トヨタ「bZ4X」のダイヤル式シフト。右に回すとDレンジ、左はRレンジ、押すとPレンジに入る。使い方は直感的で分かりやすく、すぐに馴染むことができる
トヨタ「bZ4X」のダイヤル式シフト。右に回すとDレンジ、左はRレンジ、押すとPレンジに入る。使い方は直感的で分かりやすく、すぐに馴染むことができる

次ページは : 「楽しさの演出」でしか、シフトノブの存在意義はない

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