■お題「魅力が眠る国産高級車」2台
(選出&TEXT/渡辺陽一郎)
高級車は実用性を超えた付加価値が重要。そのために設計が新しく、突出したメカニズムを持ち、内外装の目立つ車種が注目され、売れる。だから、地味だと“乗らず嫌い”になりやすい。ということで乗ってほしいのがキザシとクラウンマジェスタだ。
超高級車ではないキザシだが、欧州向けだから足まわりの設定が絶妙。日本と北米向けの車種は、走行安定性を重視して後輪が踏ん張り、曲がりにくく感じることも多いが、キザシは違う。以前のオペルに似た印象で、ボディを傾かせながら車両が内側に回り込む。
後輪が外側へ滑る傾向はあるが、姿勢の変化は穏やか。こんな部分に日本や北米向けのLサイズセダンとは違う欧州志向を感じる。
内装も欧州の実用セダン風。地味で売る気のなさを感じるが(笑)、シートの座り心地はいい。後席の座面は前側が大きく持ち上がり、拘束感が強いが、これも欧州車に多い傾向だ。廉価グレードは286万円ほどであるので(快適装備は多少省いてあるが)、地味ながらいいクルマを求める人、ぜひ!
いっぽう、クラウンマジェスタは基本的に日本向けのモデル(中国も視野に入れるが)。現行型はインパネの形状や全幅の数値がクラウンと共通になり、ボディは単純なストレッチ版だ。
しかし、75mm長いホイールベースで、乗り心地はとても快適。後席の足元も広い。
V8エンジンに代わって搭載されたV6ハイブリッドも、性能と静粛性は優れている。内外装とスペックの魅力は先代より薄れたが、最上級のクラウンを求める人にピッタリ。クラウンが気になっている方。マジェスタにも「乗ってもらいます」。
【中古車情報はこちらから!!】
スズキ キザシ…中古車価格は65万円ほどから。出回っている数が少ないようで、2018年12月現在で10台だ。
トヨタ クラウンマジェスタ…中古車価格は30万円クラスから500万円クラスと幅広い。
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いかがだっただろうか。いずれも個性派揃いの14車種。まずは触れて、試乗してみてほしい。その魅力がもっと見えてくるはずだ。
【番外コラム】「これらにも乗ってもらいたかった」販売イマイチながらいいクルマだった過去の国産車たち
(選出&TEXT/国沢光宏)
「何で売れなかったんだろう」と不思議なクルマ筆頭がスバルR2である。
当時としちゃ抜群に燃費よかった軽だ。軽自動車のわりには圧倒的に滑らかに回る4気筒エンジンだったし。ワゴンRやムーヴといった背高モデル全盛のなか、覚悟して開発したと思う。ネバーギブアップ精神の強いスバルとしちゃ珍しく宣伝も途中で投げ出し気味になるなど、すべてが上手く回らなかったような気がします。
個人的に「もっと売れてほしかった」は、日産V35のスカイラインのクーペでございます。格好よさという点からすれば、歴代の日本車のなかでベスト1にしてもいいほど。ピニンファリーナのプジョー406クーペと勝負しても負けてない!
みなさん考えるスカイラインとしちゃ、少しばかり大きかったのかもしれません。ひと回り小さくて2Lターボエンジンなんか搭載していれば評価されたかもしれません。
そして先代トヨタクラウン。
ハンドリングや乗り味など、まぁまぁのヒット作になったゼロクラウンよりすべての点でいい仕上がりだった。それなのにあまり売れなかったワケは、少しばかり前後のデザインが地味すぎたのかもしれません。だからこそ現行クラウンで反対側にすっ飛んじゃったんだと思う。
その先代クラウンのデザインを少し工夫したなら、クルマの仕上がりは歴代クラウンのナンバー1としてもいいほど。
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