■BEVは富裕層の「意識の高さ」を表現するアクセサリー
さらに地域を絞ると、街なかを走っているBEVの車種が増えてくる。
所得が豊かで“感度の良い”人たちが多く住む地域(富裕層居住地域)へ行くと、メルセデスEQ・EQSやフォルクスワーゲン・I.D.4、アメリカのBEVベンチャーのモデルなど多彩なBEVが道路を走っていたり、ショッピングモールの駐車場内にある充電施設で充電を行っていたりする光景を頻繁に見かけることができる。
日本で例えるのなら、東京や大阪、福岡などの大都市ほど、ドイツ車に限らずさまざまな国々からの、珍しいものも含めた輸入車がたくさん走っているといった状況を想像してもらえば状況はわかりやすいかもしれない。
つまり、南カリフォルニアとて、まだまだBEVに乗ることは所得の豊かな人たちがファッション感覚で乗っているといった様子が大きく変わっていないんだなと筆者は強く感じた。
ジョー・バイデン大統領は2022年8月16日に“インフレ抑制法”に署名し、同法が成立した。この法律には2022年末まで選ばれた電動車につき、引き続き最大7500ドル(約112万円)の税額控除対象になるものとしている。
対象車種選定に際して、アメリカ国内で車両組み立てを行っていることや、搭載される電池に使われる部品について制限が課され、アメリカ国内で販売されている電動車のうち7割が税額控除対象外となり問題となっている。報道のなかには、“中国排除”など経済安全保障が意識されたのではないか”とも伝えている。
バイデン大統領はすでに、2030年までに販売される新車のうち50%以上をBEV、PHEV、FCEV(燃料電池車)にする大統領令を発令している。しかし、残念ながら電動車普及の最前線をいっているカリフォルニア州でもBEVだけ見ても全体の10%弱にとどまっている。
筆者は南カリフォルニアを訪れる前に、ミシガン州デトロイト市周辺を訪れていた。冬季は厳寒な気候になることもあるのか、BEVなどはほとんど見かけることがなかった。
ただフォードの地元でデトロイト市近郊のディアボーン市近くを走っていると、フォード・マスタング・マッハEをパラパラ見かけることができた(フォード関係者?)。
また郊外のいわゆる富裕層居住地域に行くと、テスラが結構走っていた。南カリフォルニアに比べれば少ないものの、デトロイトあたりでも着実にBEVが増えているんだなあと感じた。
■カリフォルニア州政府の準備は着々と進む
カリフォルニア州大気資源局は2022年8月25日に、2035年までに販売される新車をすべてZEV(ゼロエミッション車)にするという規制を承認したことを発表した。
「さすがにこれは難しいし、“言うだけタダ”なのでは?」と筆者は思ったのだが、南カリフォルニア在住の事情通は、「いえいえ州は本気ですよ。2035年にZEV以外乗ることができなくなるわけではなく、新車として販売することができなくなるだけですしね」と語ってくれた。
事情通氏はさらに、「カリフォルニア州はすでに州内の電力供給のほとんどを、太陽光や風力などのクリーン発電で賄っていますし、住宅の新築に際しては太陽光パネルの装着義務化を行っております。
多くの戸建て住宅には補助金を活用してもらい、BEVの充電設備を完備しています。すでにZEVを受け入れるインフラ整備ができているのです」とも話してくれた。
砂漠の真ん中を走るフリーウェイのレストエリア(日本でのサービス&パーキングエリアのようなもの)が新設されたり、全面リニューアルが進んでおり、その際には急速充電施設が整備されている。
日本も日産サクラが大人気となっており、遅ればせながらZEVに注目が集まっているが、いくらBEVが普及しても日本はおもな電力供給を火力発電に頼っている。
いくらBEVが増えたとしても、二酸化炭素を排出する出口が異なるだけなので、それなら日本車のICE(内燃エンジン)は燃費や環境性能に優れ、HEV(ハイブリッド車)も普及しているので、そのままHEVベースで環境性能の良いIEC搭載車への乗り換えをより積極的に進めるだけで、日本のほうが街なかを走るクルマベースで見れば欧州より(欧州は車齢の古いクルマが日本より目立つ)、クルマに限って言えば気候変動対策には効果的かもしれない。
カリフォルニアの内陸は不毛の砂漠地帯ばかりで、そこにはまさに巨大なメガソーラーや、何百基も置かれた風力発電所がいたるところに存在する。
しかし、国土が狭く、自然災害も多い日本ではメガソーラーや風力発電では効率が悪すぎる。現実的な選択肢としては原子力発電があるが、新設どころか再稼働もままならない状況が続いている。
コメント
コメントの使い方まさにガラパゴス化。不毛の地じゃなく土地ならではの生態系があったのにメガソーラーで全ロストさせたし、人間の自己中さと業の深さが分かる。
金で釣る極端なBEV優遇とエンジンへの不理解、市民はそれで良しとしてないのに独断専行し一部富裕層だけ気持ちよくなる異様な場。これが現実とは・・