バスに乗車中に西日などがまぶしいときに使用するのが、カーテンだ。日差しをシャットアウトしてくれる、原始的ながらも確実な手段である。
住宅には付けて当たり前なカーテンであるが、日の光が車内に入り込みやすいバスの場合、カーテンの取付事情はどうなっているのだろう?
文・写真:中山修一
高速車と貸切車ではデフォといっていいくらい……
高速バスや観光バスといった、比較的長い距離を走る高速車や貸切車には、ほぼ確実と言って差し支えないほどカーテンが取り付けられている。
高速車・貸切車は居住性の良さが重視される。例えシートが高級で快適でも、差し込んでくる強い日差しに何時間もの我慢を乗客に強いては元も子もないので、遮光対策も大切な接客サービスとなる。
ブラインドタイプやロール式など様々な種類がある中で、住宅にも広く使われる横引き式の布地のカーテンを取り付けた車両が特に多いようだ。
カーテンの上に飾り布(バランス)をあしらった、ちょっとグレードの高い車両を運行している事業者もある。
夜行バス向けの車両となると、窓だけでなく車内の通路と座席の間に取り付けて、簡易的なプライバシー対策としてもカーテンが活用されている。
高速バス等でのカーテンの利用率は極めて高い。乗ってすぐカーテンを引いて寝に入る光景も頻繁に見られ、もはやド定番の乗車スタイルと言える。
これが一般路線車になると状況は一変
一方で路線車の客室遮光事情はどうだろう。路線バスは平均すると乗車時間が短いため、多少の不便(この場合は日差し)は容赦してもらうのがお約束だ。
首都圏を走る各事業者の路線バスには、カーテンやブラインド等は取り付けられていない方が多い。普段あまり気にならないが、カーテンは意外すぎるほど高額商品でもある。
とりわけ窓の多いバス車両では1枚買えば終わり、ではなく、1台で複数枚を用意する必要がある。それを保有している全車両に装備させようとすれば、カーテンだけで相当なコストがかかってしまう。管理もその分大変になる。
ただし、路線車には物理的にカーテンが取り付けられないわけではなく、実は大抵の車種にはエアコンの吹出口と窓の間にカーテンレールが準備されている。
そのため、路線車にカーテンを取り付けるか否かは事業者次第となる。首都圏以外に目を向けると、ロール式カーテン又は横引きカーテンを取り付けた路線車もそれなりに見られる。
カーテンを取り付けた路線バス車両を運用している主な事業者の一例に、道南バス(北海道)、遠鉄バス(静岡県)、一畑バス(島根県)、ことでんバス(香川県)、鹿児島交通(鹿児島県)、西表島交通(沖縄県)などが挙げられる。
全体的に見れば、路線車はカーテンなしが基本と考えるのが良さそうだ。むしろカーテン付きは超“太っ腹”なサービスなのかも!? カーテン付き一般路線車に乗ったら、それはラッキーな1日といえそうだ。
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