■スーパーカーファンの夢と芸術性の高いスーパーカーの存在意義とは?
オラチオ・パガーニによるハイパーカーコンセプトは、そもそも極めてシンプルなものだった。ベースのエンジニアリングはCカーに代表される1990年代のスポーツプロトタイプレーシングカー。
それをカーボンやチタン、アルミといったありとあらゆる軽量かつ高価なマテリアルを贅沢に使って仕立てた。スパルタンだが、とびきりラグジュアリィ。まさに走る宝石、走るアートだ。
ゾンダからすでに贅沢であるけれどもシンプルな成り立ちで、それゆえ結果的に軽量であり、さらにメルセデス製V12ユニットのおかげでパワフルなドライビングファンカーであった。当然のことながらさまざまに進化があってウアイラやウトピアが誕生したわけだが、基本的なコンセプトは3モデルに通底する。
パガーニ社の生産規模は30〜50台程度。ウトピアのベルリネッタはこれから3年以内をめどに製造が終わるだろう。ルーフ形状やドアの開き方から想像するにロードスターの登場は間違いないだろう。果たしてあと何台作るのか? 現時点でクーペは完売だ。
スーパーカーファンの夢を叶えてくれるパガーニ。その価格はもはやクルマのそれではない。けれどもだからこそ“スーパー”だ。子供の頃に憧れたカウンタックやべルリネッタボクサーも、ほとんどそんな感じだったことを思い出してほしい。
そしてもうひとつ、大事な点がある。今なら現代の“エンツォ”や“フェルッチョ”=オラチオ(ほかにはケーニグセグのクリスチャンもそう)に会えるのだ。会って話を聞いて、運がよければオーダーできて、相談にものってもらえる。夢物語かもしれないけれど、だからこそスーパーカーは成立する。
世界にはほかにも新たなハイパーカー勢力が存在する。けれどもブガッティのようなメーカー資本系を別にすると、そのほとんどはコンセプトカーや数台の生産だけで終わってしまう。詐欺まがいの新車発表もいまだに多い。
実に難しいビジネスなのだ。そんな魑魅魍魎(ちみもうりょう)とした世界観もまた、スーパーカー界がスーパーな所以というのは言い過ぎだろうか?
そんななかで、パガーニやケーニグセグは確実に実績を積み上げてきた。オラチオやクリスチャンは、こと市販スーパーカーの世界において、未来のエンツォやフェルッチョかも知れない。今のうちに会っておくべき、確かにスーパーカーマニアのスターである。
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