トヨタ GRヤリス登場で注目度急上昇! 3気筒エンジン最新事情

■評論家3人が選ぶ世界の“いい”3気筒エンジン車

■「ハイブリッド化で3気筒は価値を発揮!!」(国沢光宏)

 当たり前のことながら3気筒は排気量が大きいほど振動面などで不利になっていく。一方、搭載するクルマは大きいほどエンジンの存在感を薄くできる。

 一番わかりやすいのはセレナ(日産 ※ここでは先代型)のe-POWER用1200ccの3気筒。

 排気量が小さく、モーターという大きくて重いフライホイールに直結しているため、そもそも振動が出にくい。

 加えて本来なら2000cc級エンジンを搭載するボディだからして、エンジンの存在感は薄くなる。

 実際、セレナに乗っているとどんなエンジンを搭載しているのかまったくわからない……ということで、エンジンの評価なのかクルマ全体を評価すべきなのか大いに迷うものの、今回のテーマは「搭載車」ということだったので、3気筒エンジンとクルマの総合評価で順位を付けてみた。

 逆に3気筒の個性や面白さは考慮しなかった、と考えていただければよかろう。

 上位はエンジンにモーターが直結しているe-POWERばかりになってしまう。新型エクストレイルの3気筒も「どんなエンジンなのかわからない」です。

 またトヨタ式ハイブリッドTHSと組み合わせても3気筒のデメリットをほぼ消せる。1.5L・THS搭載車で最も大きいシエンタあたりを3位にしておきましょう。

日産 エクストレイル
日産 エクストレイル

 次点はGRヤリス(トヨタ)の性能追求型3気筒。軽さがしっかり活かされてます。

●国沢光宏が選ぶ世界の“いい”3気筒エンジン車
・日産 エクストレイル
・日産 ノートオーラ
・トヨタ シエンタ
・トヨタ GRヤリス(次点)

■「最新技術で3気筒はデメリットを克服」(渡辺陽一郎)

 エンジンの排気量を1.6L以下に抑えた3気筒エンジンは、高効率なパワーユニットで、多彩な発展を見せる。

 ハイブリッドはマイルドタイプを含めて豊富に用意され、動力性能を高めたターボも選べる。

 1位はノートオーラ(日産)だ。

 ハイブリッドのe-POWERは3気筒エンジンで発電を行い、モーターを駆動して走るから、加速が滑らかでノイズも小さい。

 ノートオーラの上質感をさらに高めた。エクストレイルの圧縮比を変化させる機能を備えたVCターボも凄いが、価格を考えるとノートオーラを推薦する。

渡辺陽一郎氏が1位に選んだのは日産 ノートオーラ。ちょっと意外!?
渡辺陽一郎氏が1位に選んだのは日産 ノートオーラ。ちょっと意外!?

 2位はノーマルエンジンのロッキー&ライズ(ダイハツ/トヨタ)だ。

 ハイブリッドもあるが、ノーマルエンジンは低価格ながら、ノイズを抑えて実用回転域の駆動力も相応に確保した。運転しやすく、3気筒エンジンの本質を突いている。

 3位はGRヤリスRZ/RC(トヨタ)だ。

 1.6Lターボにより、最高出力は272馬力、最大トルクは37.7kgmを発揮する。3気筒の限界に挑戦するようなパワーユニットだ。走行安定性とのバランスもいい。

 次点はVWゴルフの1Lターボ。48Vのマイルドハイブリッドシステムも搭載する。モーターの性能は低いが、発進時にはエンジンの回転も下がっており、この時にモーターが駆動力を素早く支援するから走りが滑らかに感じる。

●渡辺陽一郎が選ぶ世界の“いい”3気筒エンジン車
・日産 ノートオーラ
・ダイハツ/トヨタ ロッキー&ライズ ノーマルエンジン
・トヨタ GRヤリス RZ/RC
・VW ゴルフ 1Lターボ(次点)

■「3気筒エンジンのイメージは大きく変化」(片岡英明)

 やはり強烈なインパクトを放ち、度肝を抜いたのはGRヤリス(トヨタ)のRZとRCに搭載されているG16E-GTS型DOHCターボだ。

 応答レスポンスはシャープで、無理なく7000回転まで使い切ることができる。

 モータースポーツ向けだから低速トルクは今一歩だ。が、6速MTの採用もあり、3500回転から上の領域では刺激的な楽しさを満喫することができる。

トヨタ GRヤリス。同じ直3でも1.5Lとはボアピッチもまったく異なる専用設計の1.6Lターボは強烈なパワー!!!
トヨタ GRヤリス。同じ直3でも1.5Lとはボアピッチもまったく異なる専用設計の1.6Lターボは強烈なパワー!!!

 2位に選んだのは、e-POWERに発電用エンジンとして可変圧縮比のVCターボを組み合わせたエクストレイル(日産)だ。

 アクセルを軽く踏んでいる時は燃費がいいし、加速する時は瞬発力が鋭く、パンチが効いている。アクセルペダルの踏力を緩めて回生と減速を行うeペダルも便利だ。3気筒なのに静粛性が高いのも美点の1つ。

 3位に推したのは、BMWやミニが使っているモジュラーエンジンのB38型3気筒DOHC直噴ターボである。バランサーシャフトの採用もあり、4気筒並みに滑らかに回り、振動も上手に抑え込んだ。

 バルブトロニックなどの採用により回していくと快音を放ち、低速トルクもそれなりにある。パワー感は今ひとつにとどまるが、ムチを入れると楽しいエンジンだ。

BMWの直3は1.5Lターボ。現在は118i218iやX1、X2などFF系に搭載。MINIにも搭載
BMWの直3は1.5Lターボ。現在は118i218iやX1、X2などFF系に搭載。MINIにも搭載

 次点は、VWの3気筒と迷った末にクロスビー(スズキ)K10C型ターボエンジンとした。3気筒を作り慣れたスズキらしい軽やかなパワーフィールが魅力だ。

●片岡英明が選ぶ世界の“いい”3気筒エンジン車
・トヨタ GRヤリス RZ/RC
・日産 エクストレイル
・BMWやミニのB38型3気筒DOHC直噴ターボ
・トヨタ シエンタ
・スズキ クロスビー(次点)


次ページは : 【番外コラム】最強の3気筒エンジン? GRヤリスがダントツではなかった理由

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