国内自動車メーカーは数多くの車種を展開し、国内ユーザーの期待に応えようと日夜努力を続けている。そして国内メーカーの良いクルマに期待を寄せるユーザーは、世界へ広がった。
こうしたなか、国内メーカーが製造するクルマの中には、日本国内では販売されていないクルマが存在する。海外専売車と言われ、ぜひ日本でも売ってほしい魅力的なクルマが多いのだ。
本稿では、5台の海外専売車を紹介するとともに、なぜ日本で販売されることがないのか、海外専売車をとりまく背景にも迫っていきたい。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA、MITSUBISHI、SUZUKI、INFINITI
【画像ギャラリー】日本導入希望!! 国内メーカーの海外専売車 5台をチェックする(33枚)画像ギャラリー■魅力あふれる国内メーカーの海外専売車 5台
●トヨタ シエナ
並行輸入車を求めるユーザーが多く、日本国内でも頻繁に見かける海外専売車だ。ハワイへ行くと、タクシーとして使われていることが多く、運転したことはなくても、一度は後部座席に乗ったことがあるという人も珍しくないだろう。
シエナは1997年にエスティマ(北米名ブレビア)の後継として北米市場に投入された。現行型は既に4代目モデルとなる。全長は5mを超え、全幅は1990mmと大迫力。
2列目に超ロングスライドするキャプテンシートと両側スライドドアを備える。日本で多い1BOXタイプのミニバンではなく、ステーションワゴンを背高にしたような、流麗なエクステリアが魅力だ。
ドライバーズカーにもショーファーカーにもなる素質を持ったクルマであり、海外専売車の中でも、最も名前の知られたクルマの一つに挙げられるだろう。
●ホンダ オデッセィ
先日、生産終了を発表した日本のオデッセィとは違い、かなり大型のミニバンだ。日本では過去に「ラグレイト」という名で販売されており、北米市場を席巻している。
北米仕様は現行型で5代目を数え、全長5mオーバー、全幅約1993mmと前述のシエナに近いスタイリングだ。低床低重心のボディに両側スライドドアを備える。ミニバンとしては世界初の10速ATを搭載したことでも話題になった。
ステップワゴンも良いが、やはりホンダのミニバンはステーションワゴンタイプが似合うと思うのは筆者だけだろうか。高級ミニバンとして、ぜひ乗っておきたいクルマの一つに挙げたい。
●インフィニティ Q60
日産がインフィニティブランドから投入しているQ60。スカイラインクーペというと覚えのある人も多いだろう。
現行型は2016年に登場した。スポーティな2ドアクーペで、洗練されたエクステリアデザインは本当に美しい。パワートレインには3.0LのV6ガソリンツインターボを搭載する。
クーペという日本国内では需要が厳しいカテゴリーのクルマだが、生涯一度は乗っておきたいクルマの一つだ。その完成度は世界的に見ても高く、日本の高級クーペ代表としても充分に推せる。
2019年にはインパルが日本国内へ並行輸入を開始し販売をスタートした。電気自動車やSUVも良いが、日産にはセダンや高級クーペがよく似合う。
●三菱 パジェロスポーツ
1990年代に大ヒットしたクロカンSUVのパジェロ。その名を継ぐクルマが東南アジアを中心にヒットしている。
現行型は2019年にマイナーチェンジし、三菱のアイコンであるダイナミックシールドマスクを搭載した。ボディサイズは全長4785mm×全幅1815mm×全高1835mmと日本でも使いやすいサイズ感だ。
最大の特徴は、パジェロ同様にラダーフレームを受け継いでいること。リアデフロックを備えたスーパーセレクト4WD IIを組み合わせ、オンロードはもちろん、悪路の走破性も充分に持ち合わせる。
国内ではクロカンSUVがランクルシリーズ一強となっている今、パジェロスポーツが導入されれば、注目されること間違いなしだ。
筆者も幼少期にパジェロを数多く見てきた子供の一人。運転できるようになった今、最新のパジェロに乗りたいという気持ちは非常に強い。
●スズキ ブレッツァ
スズキが海外市場の中で得意にしているのはインドだ。そのインドでもSUVブームが起きており、ブームのけん引役がブレッツァである。
ボディサイズは全長3995mm×全幅1790mm×全高1685mmと、国内モデルではあまり見ない、全長短め幅広めという個性的なサイズ感。クルマとしてはエスクードをクロスビーのサイズまで小さくしたような感じになる。
スタイリッシュなデザインに充実の内装は、プチ高級SUVとして日本市場にもマッチしそうだ。小さなクルマを得意にするスズキが、本気で作ったSUVをここに見た。
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