魅力的なクルマの塗色だけど実は修理が大変なカラーも存在した。鈑金職人に「鈑金屋泣かせのボディカラーTOP5」を聞いてみた。「オレのクルマがランクインしてた」という人は今日から擦らないように……。
文/デグナー12(Team G)
写真/AdobeStock(トップ画像=Amnatdpp@AdobeStock)、日産、レクサス、スズキ、マツダ
■第5位:塗装面が安定しにくいベージュやピンク系のパステルカラー
まずは最近の軽自動車やコンパクトカーに多く見られるパステル系ボディカラー。塗料には様々な原色が入り混じっており、原色毎に比重が異なる上に、吹き付けられた原色は、乾燥するまで定着しない。
そのため、塗装時の気温や湿度、塗り重ねの回数で同じ色が微妙に変化することがあり、色味の少ない白や、色味の多い濃色では目立ちにくいが、パステルカラーではこの僅かな差が際立ってしまう。奥さんや彼女がパステルカラーのクルマに乗っているという人は、教えてあげよう。
■第4位:工程が複雑で高価な特殊クリア塗装
次に挙げるのは洗車キズなどの小さなキズを分子レベルで結合し、自己修復する塗料を使った車両。高級車に多く、日産のスクラッチシールド、トヨタやレクサスのセルフリストアリングコートと呼ばれる特殊クリアがこれにあたる。
レクサスの場合、中塗り、反射層(シルバー・メタリック系)、クリアコート、発色層(クリアカラーベース)、クリアコートという5層の塗装を行ない、さらにはクリア層の中研ぎも行なうので、非常に手間がかかる。
また、特殊な塗料を使用するため、塗装費用は通常の2倍~3倍になることも。顧客から費用面の理解を得られない場合があり、通常塗料で色だけ合わせるケースもあるようだ。価格面で顧客や保険会社との交渉に苦労するところも特殊クリア塗装ならでは。
■第3位:シルバーやガンメタなどのシルバー系メタリック
3番目はシルバー系の塗装。メタリックのキラキラした色にはアルミフレーク(金属粉)が使われており、アルミフレークの粒子が粗い塗料は、粒子のキメも他のパネルと合わせないと不自然な仕上がりになる。
そのため、塗装表面を均一にするムラとりが必要だが、太陽光にあてて初めて分かる場合もあり、鈑金職人は最後まで気を抜けない。
中でも難しい色が日産GT-Rの「アルティメイトメタルシルバー」。既存のメタリックの色を塗り重ね、この上にクリアをはさみ、さらにアルミコーティングを施し、再びクリアで仕上げられている。
これによって磨き上げられた金属のような質感が出るが。非常に薄く、ムラなく塗装する技術に加え、中研ぎも必要。GT-Rというスーパーマシンにふさわしい色だが、職人泣かせのボディカラーだ。
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