■遅延しにくい輸入車の販売方法
日本車では、ディーラーがお客さんと注文書を交わしてから、ディーラーがメーカーへ生産を発注する、“受注販売方式”が大原則となっているが、輸入車の場合は日本から欲しい車種のリクエストが出せるぐらいで、どのクルマを船に積むかは各ブランドのヘッドクォーターの判断で決まると聞く。
さらに前述したように、生産を滞らせるような部品で大勢に影響のない装備を除いて完成車生産を行うという流れは欧米ブランドでは珍しくない。その点ではもともと、輸入車のほうが納期遅延になりにくい供給体制になっていたともいえよう。
自分の希望する日本車が新規受注停止や長期の納車待ちとなっていたら、輸入車に目を向けてみるのも一考といえるだろう。ただ、そこで気になるのは価格改定の頻発である。ウクライナ紛争などの影響で、原油価格だけでなく、さまざまな資源の高騰が相次いでいる。
欧州などで生産し、船に乗せて日本まで運んでくる輸入車は、物流コストもハンパではなく高騰している。そのため多くのブランドで車両価格の改定、つまり値上げが目立っている。
少し前に某欧州ブランドで、旧価格で注文書を交わしたのに、納車を待っている間に価格改定があり、新価格での支払いを請求され揉めているという話を聞いたことがある。そのケースでは、注文書の裏などに書いてある細かく書かれた約款に、“契約成立は当該車両の新規登録が完了した時点”と書いてあったそうだ。
世界的に平時ではなく非常事態となっている現状では、車両価格の値上げもやむを得ないことともいえる。前述した問題では、セールスマンが注文書を交わす時に一言値上げについて話していれば揉めることもなかったかもしれない。
いまどきの輸入車ディーラーのセールスマンなら、注文書をもらう時に「納車をお待ちしている間に価格改定があった場合ですが…」と口頭で説明し、トラブル回避をはかるのが一般的と考える。
ただ何も説明がなかった時には、「納車を待っている間に価格が変わると、それは支払いに反映されるのか」といった質問をして“自衛”することをおすすめする。
ある意味非常事態のなか新車を購入するわけだから、起こりうるリスクについては輸入車ではなく日本車を購入する時にもセールスマンとしっかり確認しておくことは是非おすすめしたい。
とはいっても、納車まで時間がかかるどころか、いつになるのかもわからない日本車の購入を決めてジリジリするぐらいならば、いっそのこといままで日本車しか乗ったことがなかった人にとっては、輸入車を購入して乗ってみるいいチャンスともいえるかもしれない。
※文中の納期時期ににつきましては、取材時時点のものとなっています。
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