2023年1月導入予定のBYD製BEVの『ATTO3(アットスリー)』。先日、440万円という日本での価格が発表されたが、短時間とはいえ試乗する機会を設定するなどその本気度は伝わってくる。しかし、実際まだまだ参入障壁度の高そうな中国製BEVは本当に成功するのだろうか。
文/高山正寛 写真/平野 学
■久々にインパクトのある発表会
とにかく久々に派手な発表会を見た。これまでもニュース性、インパクトの点でも話題となり「黒船襲来」とか騒がれた輸入車ビジネスは数多くあったが、成功を収めたか、と問われると非常に厳しい結果も歴史としては残っている。
そもそも「黒船〜」と言った段階で日本人がある程度のアレルギーを持ってしまう部分も否定できないし、その一方で携帯電話に代表されるように、良い物であればこだわりは無いのが現代のマーケティングだ。
特に期待の「Z世代」などは最初からグローバル化の洗礼を受けているので、過去の日本における輸入車ビジネスの失敗はそれほどあてはまらないだろう。
発表会自体は非常に綿密なシナリオとストーリーで構成されていた。自動車業界にいればBYDの名前くらいは当然知っている(はず)だが、実際、日本でどういうビジネスを展開するのかといった疑問に対してもかなり事前に調査を行っている印象を受けた。
■マーケティングに関しても抜かりなし
日本に導入予定のモデルは3車種。先鋒は2023年1月にミドルサイズSUVの『ATTO 3』、2023年中頃を予定しているコンパクトハッチバック『DOLPHIN(ドルフィン)』、そして2023年下期に予定されるスポーティセダン『SEAL(シール)』だ。
3車種とも中国で販売されているモデルとはバッテリー容量などが微妙に異なる部分もあるが、まずは日本でも売れ線であるSUVから導入する点、また日本ではどちらかと言えば大容量バッテリーを搭載する大型SUV&セダンが輸入車のカテゴリーでは多いのに対し、コンパクトセグメント(とはいえ全幅は1770mmもある)を持ってくるなど中々よく考えていると感じた。
日本法人(正式社名はBYD Auto Japan株式会社)はBYDの100%子会社になるが、代表取締役社長の東福寺厚樹氏は三菱自動車やフォルクスワーゲン販売会社のトップを歴任してきた。
言い換えれば国産車と日本における輸入車ビジネスを知り尽くした人材だろう。同社の会長である劉 学亮(LIU XUELIANG)氏もその部分を期待しているのではないだろうか。
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