■TOYOTA FT-1 ビジョン グランツーリスモ(2014年9月16日発表)
2014年1月のデトロイトショーで公開されたFT-1(スープラの原型ともなったコンセプトカー)をベースに、トヨタの北米デザイン拠点である「CALTY」が作り上げたレーシングカー。オリジナルのFT-1は「機能造形美」をテーマとしていたが、ビジョン グランツーリスモでは機能の集約を最優先し、サーキットでの生々しいリアリティが強調されている。
その外観だが、ワイドタイヤを収めるためにフェンダーを拡幅し、エアインテークも拡大されてクーリング性能が向上、リアのウイングやディフューザーも大型のものが装着されている。2020年にはスープラにもレース仕様のGT4マシンがデビューしているが、その原点になったのかもしれない1台だ。
■スバル VIZIV GT ビジョン グランツーリスモ(2014年11月19日発表)
当時のスバルが掲げていた「VIZIV(Vision for Innovation)」というテーマを具体化したスポーツカー。そのエクステリアは「超合金の鰹節」がキーワードで、フロントのヘキサゴングリルからリアに一気にショルダーラインが抜け、硬質な金属をカンナで削りだしたようなソリッド感がある。2020年に登場したレヴォーグが、このデザインを発展させて誕生したことは間違いないだろう。
パワートレインだが、伝統の2L水平対向エンジンに、フロント1基、リアに2基の高出力モーターを組み合わせて、システム出力600ps、最大トルク800Nmを発揮する。市販車においても、このアグレッシブさを具現化してほしいものだ。
■インフィニティ コンセプト ビジョン グランツーリスモ(2014年12月17日発表)
日産のハイブランド「インフィニティ」もビジョン グランツーリスモを発表している。ピュアなGTカーをアーティスティックに表現した1台だ。
圧倒的に低く、マッシブに幅広いボディに積まれるのは、自然吸気4.5L V8エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステム。分厚い低速トルクを誇りながらも、高回転では官能的なエグゾーストを奏でる。トランスアクスルによって45:55という絶妙な重量バランスを実現し、積極的にリアを流す楽しさも備えているという。優雅なボディに隠されたエアロダイナミクスも優秀で、床下の気流コントロールや前後ディフューザー、特異なリアスポイラーがクルマの戦闘力をいっそう高めている
■マツダ LM55 ビジョン グランツーリスモ(2014年12月25日発表)
2014年のクリスマスの発表されたマツダのビジョン グランツーリスモ。マツダのモータースポーツといえばル・マンで総合優勝を飾った787Bにとどめを刺すが、このLM55は787Bをリスペクトしつつ、未来のル・マン24時間レースを見据えて作られた夢のマシンだ。
いっけんロードカーとは無縁のたたずまいだが、そのデザインにはマツダのデザイン哲学である「魂動」が活かされており、フロントグリルにも近年のマツダロードカーと共通するモチーフも見られる。
世界的に有名なイギリスの自動車イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で、マツダは2015年のホストブランドとなり、787BとこのLM55が天空に駆け上るモニュメントが話題をさらった。2016年の東京オートサロンでも実車が展示され、クルマ好きの心を揺さぶったことは記憶に新しい。
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