■専用道路、どうやって管理している?
32キロの私道はこのたびの社名変更で宇部伊佐専用道路という名称に改称された。国内最長の私道はどのような管理が行われているのだろうか?
宇部興産セメントサービス株式会社の柴田和弘さんとUBE三菱セメント株式会社吉富健治さんのお二人に話を伺った。過去には4日間大雪で通行止めになったこともあったという。寒いシーズンの管理は特に大変そうだ。
― ダブルス・トレーラー、冬はスタッドレスなどを履くのでしょうか?
「いえいえ、冬タイヤに交換したり、チェーンを巻いて走ったりはありません。ダブルス・トレーラーは1編成で34本のタイヤを履いており、タイヤ交換も手間がかかり、外したタイヤの置き場所を確保するのも大変です。30編成あるので、タイヤだけで1000本以上。だいたい1年で18万キロ走るので年1回の割合で交換します」
― では雪が降るなどした場合は?
「道路の除雪を行います。ですが、除雪車も小さめの1台のみで、基本は社員が行っています。宇部セメント工場側は比較的温暖ですが、伊佐セメント工場がある方は寒くて道路の凍結もあります。専用道路一番の難所は全長1020mの『興産大橋』ですが、ここも除雪して凍結防止剤を巻いて…という対応になります」
「伊佐セメント工場では伊佐鉱山で採掘した石灰石などを原料としてクリンカーを製造していますが、こちらを止めることはできないので、運べないとなるとクリンカーがどんどんたまっていくのが大変でしたね」
― 32kmの私道、一番の難所「興産大橋」とはどんな橋ですか?
「全長1020mの『興産大橋』ですね。100mの間に6m高度が上昇する急こう配の上り坂となるため、シフト操作もとてつもなく難しくなります。なぜ急こう配なのかというと、大型の貨物船を通りやすくするため、橋げたと海面の間をできるだけ高くとっているからです。非常に急な上り坂ゆえ、シフト操作も熟練の技が必要となります。速度とエンジン回転数を合わせる神ワザ的なシフトダウンを繰り返して88tの荷物を引っ張り上げます」
― 総重量125トンのダブルス・トレーラー、燃費はどれくらいなのでしょうか?
「1Lあたり1.4kmくらいですね。燃費だけなら10トンダンプが3~4倍良い(約5km/L)のですが、ダブルス・トレーラーは1回に10トンダンプの9倍以上の量を運ぶことができるので、結果的にはダブルス・トレーラーの方が効率がよく、エコな輸送方法と言えるでしょう」
32kmの私道。一般車はもちろん走行できないが、実はダブルス・トレーラーと合わせて見学できるツアーがある。『宇部・美祢・山陽小野田産業観光推進協議会』が主催する「産業観光バスツアー」である。
2023年の予定はまだ発表されていないが、COVID-19感染拡大予防で1回に参加できる人数が絞られていることもあり、毎回予約申し込みは激戦模様。気になる方は公式サイトなどをチェックしてみて!
【画像ギャラリー】公道最大車重の3.3倍! ダブルス・トレーラーの威容を見よ!(9枚)画像ギャラリー
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