「ストロング」といえども、「マイルド」に近かった
次期型では、当然ながら優れた燃費性能が求められ、燃費の良い本格的なストロングハイブリッドがほしいところですが、上述のように、現行モデルで採用していたストロングハイブリッドでは十分な燃費低減は期待できず、ライバル車に太刀打ちできません。
コンパクトハイブリッドの代表格トヨタ「アクア」は、スイフトの10kW/トルク30Nmのモーターの約5倍の出力に相当する45kW/169Nm(最新は67kW/120Nm)の駆動用モーターを装備しています。スイフトは、車速60km/h程度までEV走行可能というものの、実際のところ電池容量も小さいので、加減速があれば頻繁にエンジンが起動して、アクアに比べればEV走行の領域は狭いことは避けられません。
結果として、スイフトのストロングハイブリッドの燃費32km/Lは、アクアの38.0km/L(2017年時点のJC08モード、現在はさらに向上)や、フィットハイブリッドの38.6km/L(2020年モデル)に対して、大きく劣っています。ストロングハイブリッドと称しながらも、実際の走りや燃費性能は、マイルドハイブリッドに近いハイブリッドだったのです。ちなみにスズキは、当初使っていたストロングハイブリッドという表現を公式にやめて、ただのハイブリッドという言い方に改めています。
次期型では、ミディアムなハイブリッドを搭載か
では、次期型スイフトでは、どのようなハイブリッドシステムが考えられるのでしょうか。昨年4月に、同社のコンパクトSUV「エスクード」のマイナーチェンジで、駆動用モーターの出力を10kWから24.6kW、トルクを30Nmから50Nmへと増強したハイブリッドが搭載されました。スズキのハイブリッドシステムとしては最大のもので、これをスイフト用に手直しして、次期スイフトに搭載することが考えられます。
ただしこれでも、アクアの67kWやフィットハイブリッドの80kWと比べると、モーターの出力としては見劣りします。新しいハイブリッドをストロングハイブリッドと呼ぶかどうかは微妙ですが、モーターの出力がすべてを決めるわけではありません。燃費一番にはなれないかもしれません(それを目指すクルマではありません)が、改良されたエンジンと低コストの6速AGSを組み合わせたミディアムなハイブリッドによって、走りと低コストを両立させたスイフトらしいハイブリッドが誕生する可能性は十分にあります。
また、スズキはトヨタと業務提携を結んでいるので、THS IIを採用することも不可能ではありません。ただ、THS-IIシステムをそのまま転用するにしても、スイフトのコンパクトな車体に収めるには、大変な苦労が想像つきますし、生産能力的にも困難と思われます。また、ダイハツがロッキーに、独自に開発した「e-SMART HYBRID」のシリーズハイブリッドを採用していることを考えると、スズキとしても、独自性をアピールしたいところではないかと思われ、可能性は低いと考えられます。
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スイフトは、次期型でも、アクアやフィットで採用されているようなストロングハイブリッドが搭載される可能性はないと思われます。コストを重視してマイルドハイブリッドに留めるのではないでしょうか。さらにその先、2029年あたりに登場するスイフトにて、一気に電動車へと変換するシナリオだと予想します。
次期型スイフトは、ストロングとはいかないまでも、ライバル車とは一味違う、軽快な走りと安価を両立させた、スイフトらしいミディアムなハイブリッドの登場を期待したいですね。
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