スイフトスポーツは「価格」でもライバルを圧倒
価格も違う。ヴィッツ「GR」や「GRスポーツ」、ノート「NISMO」などは200万円を上まわり、スイフトスポーツに比べると総じて割高で魅力に欠ける。
その代わりに「チューニングカーらしさ」は、ヴィッツ「GR」、ノート&マーチ「NISMO」が濃厚で個性も強いが、一般的な選択ではない。従って多くのユーザーが買うのはスイフトスポーツになる。
唯一スイフトに近い車種がマツダ デミオだろう。後席と荷室は狭いが、前席の快適性と走りに力を入れた。スイフトスポーツのような高性能仕様は設定されないが、走りの素性は良く、1.5Lのクリーンディーゼルターボで独特の世界を築いている。
そしてデミオには「15MB」と呼ばれる1.5L直噴ガソリンエンジンを搭載したモータースポーツのベース車両があるから、その気になればスイフトスポーツのような仕様も開発できるだろう。
以上のように、高性能仕様で重要なのは、ベース車の優れた素性だ。1975年に発売された初代フォルクスワーゲン(VW) ゴルフGTIが成功したのも、GTIの開発以前に、ベース車が熟成されていたからだ。そして国産コンパクトカーは、概して実用性は高いが走り(の実力)は低いから、スポーツモデルも成立しにくい。スイフトとスイフトスポーツは、例外的に欧州車的な商品特性を備えるから、人気を高めた。
国産コンパクトカーは、実用性と割安感を重視してコストダウンに走りがちだが、そろそろ商品力にも目を向けたい。そうすれば売れ行きが安定的に伸びて、フルモデルチェンジの周期も長くできる(安全性と環境への対応を考えると限度はあるが)。優れたスポーツモデルが成立する商品開発は、ユーザーに大きなメリットをもたらす。
何が足りない!? 競合するライバル車の評価は?
■ホンダ フィット RS
現行フィットが発売された時、開発者は「VW ポロ(先代型)をベンチマークにした」とコメントした。指標を設けるならゴルフにすべきだ。ポロでは操舵に対する正確性、走行安定性、乗り心地がいまひとつに終わってしまう。「RS」もその印象から抜け出せない。
ただし、フィットの居住性、積載性、空間効率はポロを含めた欧州製コンパクトカーよりも優秀だ。仮に次期型で走行性能と乗り心地を底上げできれば、次期フィット「RS」は、ポロGTIやスイフトスポーツを総合的に上まわる車になり得る。
■日産 マーチ&ノート NISMO
マーチやノートは、プラットフォームを含めて、コスト低減を重視して開発された。ノート e-POWERの登場で印象が少し変わったが、本質的な変化はない。従って次期型に期待したい。
ノートは居住性が優れているので、走りと質を高めれば、かつてのティーダを発展させたような「コンパクトな高級モデル」になり得る。これをベースにスポーツモデルを開発すれば、良い車になるだろう。
■トヨタ ヴィッツ GRスポーツ“GR”
マーチ&ノート NISMOに似て、ベース車の素性がいま一歩だ。これもプラットフォームから刷新させる次期型に期待したい。
■マツダ デミオ 15MB
走りの素性はスイフトと同様に優れている。モータースポーツのベース車となる「15MB」を活用すれば、クリーンディーゼルターボとは違うスイフトスポーツ的な走りの楽しい仕様を開発できる。
■スバル インプレッサ
走りの素性が高いのに、力の入ったスポーティグレードが用意されないのは残念だ。インプレッサには、1.6Lターボエンジンを搭載した「STIスポーツ」を加えて欲しい。
コメント
コメントの使い方スイスポは日本の宝ですっ!初代からあったけど、初代スイフト自体が影薄かったこともあり有名になったのは二代目から。本場で磨いた走りの性能と、意外にも取り回しやすい。さらに性能と装備を見れば激安価格など、売れないわけがありません。現行型はターボになりましたが、その『らしさ』は健在。さらに標準仕様ならうるさくもなく先進安全機能も搭載とあって、わたしも旦那と共有の趣味カーとして普段使いもしています。