■[TEST03] スラローム&ハンドリングテスト
圧倒的に速かったのがジムニー。13秒15は2番手だったCX-5の13秒24を0.8秒上回り、CR-Vと比べれば1秒以上速い。
「車体がコンパクトだから、間隔が狭く、タイトに切り返す今回のスラロームでは圧倒的に走りやすかった。また、今回のジムニーはMTなのでアクセル操作に対する機敏な駆動力の反応も得られ、姿勢制御がしやすかった。
軽ターボのトルク不足は、半クラでエンジン回転を高めてカバー。曲がりのきっかけにサイドブレーキを使ったり、ドライバーがいろいろと“介入”できる。ただ、トラクションコントロールをオフにしているにもかかわらず、20km/h程度になると自動的にオンになってしまい、ちょっとストレスがたまります」と評価。
「フォレスターは前後の重量配分に優れ、雪道での姿勢変化の少なさなどポテンシャルの高さは感じるものの、テスト走行的な走り方をすると、あっという間にハイブリッド用バッテリーを使い切ってしまい、モーターアシストが効かなくなってしまう。
一般道ならば減速時の回生で充電が間に合いますが、頻繁に加速すると充電が間に合わない。そうなるとただの2L NAのトルクになってしまい、アクセルオンオフによる切り返しのテンポや、姿勢作りに機敏な反応が得られないため、タイムもイマイチ上がりませんでした」とのこと。
「CR-Vのモーター走行はダイレクトにトルクがドンと立ち上がるので、大きく重たい車体にもかかわらず、アクセルワークで姿勢のコントロールがしやすく運転していて楽しい。
ただ、車体が大きく、狭いパイロン間隔でちょっと苦戦。その点CX-5やエクリプスクロスは軽さもあって機敏な走りができたのが印象的。CX-5の2.5Lガソリンターボはトルクもありアクセル操作で積極的に姿勢を制御でき、楽しく走れます」。
雪道での走りが特に楽しくタイムもよかったのがエクリプスクロス。
「S-AWCをスノーモードにすると後輪にも積極的にトルク配分をするのがよくわかり、アクセルオンでテールを振り出すような姿勢を作りやすい。挙動コントロールを積極的に行いたいドライバーにはいいと思います。一方、オートモードは挙動が穏やかで雪道初心者でも安心して走れるし、必要な時にはしっかりと後輪にトラクションがかかるので安定して速い。よくできていると感じました」と高い評価となった。
[総括!]最新SUVの4WD性能、どれが優れている!?
総評を新井選手にまとめていただこう。
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ジムニーは1台手元にあったら楽しい! 本格派クロカンを目指しているだけあって、新雪が降り積もった山道でもグイグイと入り込んでいける。ただ、これ1台でロングドライブまでこなせるかというと、やはりちょっと厳しい。
ほかのミドルサイズSUV4台はというと、エクリプスクロスのS-AWCのチューニングにランエボ開発陣の魂を感じた。つまり、最近主流となった「安定志向」に終始するのではなく、積極的にクルマを動かしてドライバーにコントロールする余地を残す、という駆動力配分が絶妙なのだ。
ある程度クルマの挙動を意図してコントロールできるドライバーにとっては『SNOWモード』でグイグイ走らせるのはとても楽しい。一方『AUTOモード』では安定した走りが可能である。CX-5の2.5Lターボはトルクが大きく、アクセルワークで姿勢制御ができるが、基本的には安定志向の4WDチューニング。
フォレスターはハイブリッドの電力不足。一般道でモーターアシストが効く状態では、もっと機敏にアクセルワークに対して車体が反応してくれる。その点、CR-Vハイブリッドのモーターはダイレクトに大トルクが得られ楽しい。実走行燃費にも優れているのでトータル性能は高いと思う。
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