発電用エンジンで復活できたのはなぜ?
ロータリーエンジンが軽量でコンパクトなことは先に紹介した。また、振動も少ないことから効率の良い回転数で定常運転できるのであれば、そのメリットはデメリットを上回る。
こうした特性は、電動モーターで走るEVのレンジエクステンダー(航続距離延長用システム)に最適なことにお気づきだろうか? そう、これがEVの発電用としてロータリーエンジンが復活した理由だ。
先に発表された新型のMX-30 eスカイアクティブ R-EVは、外部電源からバッテリーを充電するプラグインハイブリッド方式を採用しているが、車載したレンジエクステンダーによって充電を行うことにより、その航続距離を伸ばせる。さらに効率の良い回転数でロータリーエンジンを回すため、ガソリン消費量も抑えられる。
もともと静粛性に優れたロータリーエンジンはEVとの相性も抜群であり、MX-30 eスカイアクティブ R-EVを皮切りに、他のEVへのロータリーエンジン搭載も予想される。また、ロータリーエンジンはガソリン以外の燃料にも対応しやすいことから、水素やバイオフューエルを使っての発電も期待できる。
今回のロータリーエンジン復活が即動力用ロータリーエンジン車の再登場につながることはなさそうだが、発電用エンジンの開発で得られた知見を生かした新世代の動力用ロータリーエンジン誕生がないとは限らない。ロータリーエンジンのファンなら、その日が来ることを願いたい。
ロータリーエンジン搭載の名車たち
最後は歴代のロータリーエンジン搭載モデルを見ていくことにしよう。
●歴史に残る金字塔「コスモスポーツ」
世界初の量産型ロータリーエンジン搭載車として1967年に登場。2シーターのフォルムはいかにもスポーツカー然とした流麗なもので、発売から50年以上が経過した現在でも色あせない。排気量は491cc×2。最高出力は110psを叩き出した。
1968年にリリースされた後期型では、ポートタイミングの変更などによって排気量は変わらないものの最高出力は128psに引き上げられ、ホイールベースやトレッドの拡大も行われた。マツダのロータリーエンジン搭載車第1号として十分な実績を残したコスモスポーツは1972年に販売を終了している。
●RX-7に連なる系譜「サバンナ」
1971年にはマツダ製ロータリーエンジン搭載モデルの第5弾となるサバンナが誕生した。初代モデルのボディはセダンとクーペで、スポーティなクーペはモータースポーツにも積極的に投入され、当時国内レースで常勝を誇っていた日産 スカイラインGT-Rを破るという実績も残した。
販売当初はコスモスポーツと同じ10A型ロータリーエンジンを搭載していたが、翌1972年には新たに開発された12A型エンジンを搭載したサバンナGTも登場。初代サバンナは、後継モデルのサバンナRX-7の販売に伴い1978年に生産終了となった。
●ロータリー神話の体現者「RX-7」
1978年に、その後の日本自動車史に名を残す名車が生まれた。それがサバンナRX-7だった。名称からわかるようにサバンナの後継車種ではあったが、スーパーカーでおなじみのリトラクタブルヘッドライト採用や2ドア専用ボディなど、先代のサバンナに比べるとよりスポーツ色を濃くしている。
初代&2代目にはサバンナRX-7の名称が与えられたが、1991年リリースの3代目モデルでは、販売チャンネルの変更によりアンフィニRX-7に名称変更されている。とはいえ初代&2代目RX-7の直系であることに変わりはなく、この3代目は2003年まで販売が継続される息の長いモデルになった。
2&3代目RX-7はそれぞれの型式名であるFC型、FD型と呼ばれることも多く、販売終了から20年が経過した現在でも高い人気を保っている。
●ロータリーエンジン最終モデルの呼び名を返上できるか?「RX-8」
現在のところ最後の動力用ロータリーエンジン搭載モデルがRX-8。3代目FD型RX-7の後を受けて2003年に登場したRX-8は、FD型から引き継ぐプラットフォームを使用しているが、当時マツダと提携関係にあったフォードの意向もあって、4人乗車可能な4ドアモデルだったのが特徴のひとつ。
とはいえ後部ドアはサイズの小さい観音開きタイプであり、これは運動性を重視して車体を軽量に仕上げるため。実際、後部座席は大人が乗るにはかなりキツめのサイズだった。
エンジンは多くのパーツを新設計した13B-MSP型が搭載され、それまでのロータリーエンジンよりも燃費性能を向上させている。
RX-8は爆発的なヒットモデルとはならなかったが、ロータリーエンジン愛好者たちに支持され、発売10年目の2012年まで生産が続けられた。
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