スバルだけど水平対向エンジン“じゃない”傑作名車 4選

スバル史上最強の軽「ヴィヴィオ RX-R」

ヴィヴィオのトップグレードとしてラインナップされた「RX-R」/658ccの直列4気筒スーパーチャージドエンジンは、64ps/7200rpm、10.8kgm/3600rpmというスペックを誇った

 軽自動車を得意とするスバルが、「レックス」の後継として1992年3月に送り出したのがヴィヴィオだ。エンジンは658ccの直列4気筒(EN07型)で、SOHCとDOHCの2機種を設定している。

 イメージリーダーの「RX-R」が搭載するのは、DOHC 4バルブエンジンにスーパーチャージャーとインタークーラー、そして電子制御燃料噴射装置の「EMPi」を組み合わせたEN07型エンジンだ。

 ハイオク指定で64ps/9.0kgmのパフォーマンスを誇り、トランスミッションは5速MTだけとした。駆動方式はFFとフルタイム4WDがある。

 「RX-R」は軽量ボディだったこともあり、ハンドリングのよさが際立っていた。もちろん、エンジンはパワフルだ。スーパーチャージャーだからアイドリング回転のちょっと上から分厚いトルクが湧き上がり、強烈な加速を楽しむことができる。

 最高出力は7200回転で発生するが、その気になれば1万回転まで使い切ることが可能だ。レーシングエンジンのように気持ちよく回り、滑らかさも群を抜く。5速MTを駆使すれば、上級クラスのスポーティカーを簡単に追い回すことができる実力派だった。

ただのOEMじゃない!! 隠れた名車「トラヴィック」

トラヴィック(2001年発売)/元のオペル ザフィーラが289万円だったのに対し、エンジンが大きいにも関わらず約100万円安の199万円からとOEM車ながらコスパも高いモデルだった

 軽自動車だけに目が行くが、登録車にも傑作エンジンを積んだクルマがある。その筆頭が21世紀の最初の年、2001年夏に発売したドライバーズミニバンの「トラヴィック」だ。

 当時、スバルはGMと提携していた。そこでGMのタイ工場で生産しているオペル ザフィーラを譲り受け、トラヴィックの名で発売している。ザフィーラは1.8Lエンジンだが、トラヴィックが積むのは2.2Lの直列4気筒DOHC 4バルブエンジン。これに4速ATを組み合わせた。3列シートを採用し、駆動方式はFFである。

 トラヴィックのエンジンは、GMのコンパクトカーを扱うサターンが開発したものだ。オペルでも使っている傑作エンジンで、発泡スチロールでエンジンの鋳型を作るなど、製造方法も先進的だった。また、スバルとして初めて電子制御スロットルを採用したのも、このZ22型エンジンである。排気量は2198ccで、圧縮比は10.0と高いが、レギュラーガソリンを指定した。

 最高出力は147ps/5800rpm、最大トルクは20.7kg-m/4000rpmだ。軽量コンパクトな設計に加え、ロングストロークだったから当時のスバルの水平対向エンジンよりフレキシブルで扱いやすい。実用域のトルクは厚みがあり、気持ちいい加速を見せつけた。また、その気になれば6000回転まで引っ張ることができる。

 バランス感覚がよく、スムースに回り、クルージング時は静粛性も高かった。音色だって悪くない。乾いたサウンドが耳に心地よかった。隠れた名車と言えるだろう。

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