道路のように車線も案内板もない海。いったい艦船は、どのように航海を行うのか?

■艦橋ではどんな乗員が働いているのか?

 航海中の護衛艦の艦橋には艦長、航海長、当直士官などの幹部と航海科員や当直の海曹士(砲雷科の水測員を除いた各科員)が所在している。艦長は艦長席に座り艦全体の指揮を取るが、通常の航海では航海長や当直士官に艦の操艦を任せる。

 当直士官は1等海尉以上で、海上自衛隊の運航2級(国家資格の航海3級海技士免許に相当する)以上の海技資格を有する幹部。2等海尉以下の幹部は副当直に就く。当直士官は操艦を行うが、針路・深度の変換、速力の増減、機関待機の変更、錨鎖の伸縮などの重要な作業のときには艦長の命によって行わねばならないと定められている。

 航海長は艦の安全運航に関わる業務や業務に関わる物件の整備などを所掌するが、航海計画を立案するのも重要な業務のひとつ。航海計画とは船の航海にあたって針路や航程を計算し予定航路を立案すること。また、出入港、狭水路通過、艦隊の陣形運動の時や、細かな針路変換や速力の増減を行う海域での航行では艦橋にいなければならない。通常、航海長が操艦を行うことはないが、艦長の命により行う場合もある。

 当直士官や航海長の出す操艦指示に従って、実際に艦を動かす舵を握ったり速力通信機を操作するなどの作業を行うのは当直の海士。伝令も当直の海士の仕事だ。航海中に艦橋両舷の張り出し甲板などで双眼鏡を持って艦の周囲を見張るのも当直の海士の仕事で、見張員は一番若手の海士が当てられる。そして当直海曹は艦橋で作業を行う海士を監督する。

 ちなみに航海科員は手旗信号、発光信号、旗旒信号(きりゅう信号:船舶間の通信に利用される旗を使った信号)により自衛艦あるいは商船とのメッセージ交換を行うなどの仕事で忙しいため、ほとんど舵や速力通信機の操作を行うことはない。

 航海中の護衛艦は24時間航行を続けるので乗員は交代制を取っている。交代制は勤務によって異なり3時間ごとの3交代制または6時間ごとの2交代制が採られており、艦橋では3時間3交代制で当直勤務が行われる。

【画像ギャラリー】沿岸から大洋まで……、艦船の航法に迫る(4枚)画像ギャラリー

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