「クルマのゴム系パーツ」と言われてまず頭に思い浮かぶのはタイヤやワイパーだろう。でもこれら以外に、ライトやドアまわりのパッキンにベルトやホース類、エンジンマウントやブッシュ類などなど、クルマには多くのゴム系パーツが使われている。
これらは意外と劣化しやすいパーツにもかかわらず、あまり気にかけられずに劣化がかなり進んでいることもある。そこで、「10年で交換」と言われるこれらゴム系パーツの劣化の原因、長持ちさせるコツ、NG行為などについて考えてみたい。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/写真AC
ゴム系パーツの劣化の原因は?
ゴムが劣化している状態とは、「ゴムが弾力を失って硬化したりヒビ割れている」ことを指す。そしてゴム系パーツを劣化させる主な原因は、太陽光に含まれる紫外線や熱、風雨。これらの影響はクルマの保管状況によっても大きく変わり、屋外保管と屋内保管では雲泥の差ともなる。
屋外保管の場合は、クルマに保護シートなどをかけることで劣化の進行を遅らせることもできるが、使うたびにカバーをかけたり外したりするのはかなり面倒だし、劣化を遅らせられたとしても10年程度と言われている。
よって、ゴム系パーツは必ず劣化するものと考え、交換時期くらいは知っておきたいもの。
劣化を防ぐメンテナンス法は?
ゴムが劣化した状態とは、硬化して柔軟性を失うこと。よって、柔軟性を保つためのメンテナンス法をまずは知っておきたい。
ある程度長く乗ったクルマで、汚れやヤレがけっこう気になってくるゴム系パーツにモールがある。ドアの密閉性を高める「ウェザーストリップ」や、ルーフ部につく「ルーフモール」などがそうだ。
カー用品店に行けばゴム系パーツ劣化防止用のケミカル剤などが置いてあるが、大事なことは「ケミカル剤を使う部分の汚れをしっかり落としてから使う」こと。モールを美しくするにはまずは汚れ落としから。汚れを落とすには、濡らしたマイクロファイバー系のウエスで黒い汚れがウエスにつかなくなるまでとにかくひたすら拭く。
濡らしたメラミンスポンジを使うと汚れが一気にキレイになると言う人もいるが、メラミンスポンジには研磨力があり、劣化したゴムをどんどん削り落とすこともあるので、使う際は要注意。
汚れたゴム系パーツはケミカル剤の浸透を妨げ、効果も半減してしまうのでとにかくひたすら拭いて汚れを落とすべし。汚れが落ちたらケミカル剤の出番だ。ケミカル剤の多くはスプレーして(もしくは塗り込んで)乾いたウエスで拭きあげるだけと、とても簡単なのでぜひ一度試してほしい。
ただし、ワイパーゴムに施工するとガラスのギラつきの原因となったり、アクセルやブレーキペダルに施工すると滑って危険なので、ここには絶対に使わないこと。
ちなみに、ワイパーゴムを動かすと起こるビビリ音の多くは、ワイパーゴムの劣化やガラスの汚れが原因であることが多い。ビビリ音解消のためにワイパーゴム交換を考えるなら、その前にまずはワイパーゴムとガラスをきれいにしてみてから。「ゴムを交換したけどビビリ音が消えない……」とならないように……。
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