自動車購入の際に欠かせないアイテムと言えば、紙のカタログ。A4サイズ縦型の冊子が圧倒的に多かったのだが、最近はカタログの仕様に変化が見える。廃止も叫ばれる紙カタログだが、今後どうなってしまうのか。自動車カタログの今を考える。
文/佐々木 亘、写真/ベストカー編集部、トヨタWEBサイト、AdobeStock(トップ画像=Viacheslav Yakobchuk@AdobeStock)
■紙カタログの歴史は日本の歴史
自動車のカタログは、それぞれの時代背景を色濃く映すものだ。
1960年代から70年代にかけて、スポーツモデルなど、メーカーの看板になるクルマのカタログには、様々な工夫が凝らされていた。
現代の私たちがよく見かけるカタログは、A4サイズの紙を縦にして冊子にしたものが多いが、この60年代から70年代には、B4サイズ横の大きなカタログや、正方形のものもある。
冊子を開くと、中には折りたたまれた紙が製本されており、今のカタログよりも、クルマの姿を大きく迫力のある形で見ることができたのだ。
バブル経済真っただ中の80年代後半から90年代前半には、ページ数が多く、箔押しがされるような豪華なカタログも目立ってくる。バブル経済が崩壊し平成不況に入ると、カタログの煌びやかさも衰退し、ページ数は少なく、A4サイズ縦で大きさの揃ったカタログが、ディーラーのショールームに並べられた。
カタログで車格が分かるのも平成から令和にかけての特徴だろう。お手頃なコンパクトカーはポップな内容だが見た目はチープ、閉じ方も背を針金で閉じる中綴じが主流となる。対して高級車では、紙1枚1枚が分厚く、製本方法にもこだわっている。
このように、時代を映す鏡のような存在の自動車カタログが、最近また形を変えようとしているのだ。
■縦型主流が終焉! 横長カタログが増殖中
自動車カタログと言えば、ベストカー本誌のような縦長の冊子を思い浮かべることが多いと思う。筆者の手元にも、数多くのクルマのカタログがあるが、その大半は縦長の冊子だ。しかし、近年登場した新型モデルのカタログでは、縦長を採用するケースが少なくなってきた。
例えば、シエンタ、クラウン、プリウスが話題になったトヨタ。3モデルとも、カタログは横長の冊子になっている。また、昨年一部改良が行われたカローラシリーズ(カローラクロスを除く)も、横長の冊子で生まれ変わった。
他メーカーも見ていこう。ホンダはまだまだ縦型カタログが多いが、新型シビックは横長である。三菱・ダイハツ・スズキは縦が主流。スバルはレヴォーグから横長の冊子になり、クロストレックも縦長デザインの表紙なのだが、中身は横長で読む形式に変わっている。
ほぼすべての車種で横長のカタログを使うのがマツダ。日産はカタログを正方形にしてきた。
段々と自動車カタログが縦から横へ切り替わろうとしているようだ。変更の過渡期になっているトヨタディーラーで話を聞くと、カタログの横長化には、電子化を見据えた動きが見えるという。
既にトヨタでは、ほぼすべての新車でホームページからカタログの閲覧ができるようになった。PDF形式で保存されたファイルを開き、自宅のPCやタブレットなどで、カタログの内容を確認することができる。
筆者もよくPCでカタログを確認するが、この時、PCの画面と同じ横長のカタログは画面上での確認がしやすい。対して縦長のカタログだと、1画面にカタログの1ページが収まらず、スクロールしながら読む必要が出てくるのだ。
紙媒体としての自動車カタログは、この先消滅することがほぼ確定的。トヨタディーラーの営業マンは、「新型モデルのカタログが全部横長なのは、明らかに電子カタログを見越した仕様変更でしょう。画面上の見やすさを優先した形状変更だと思っています」と語る。
最近増えた横長のカタログ。電子化へさらに一歩近づいた証とも言えるだろう。
コメント
コメントの使い方トヨタの車がすきで、販売店に行ってカタログを集めて回っているのに
それが出来なくなっちゃうのかな、、、、、
悲しい( ノД`)