美しいバラにはトゲがあるという。それはつまり、フェラーリのようなクルマは、美しいバラのようにトゲ(維持費など)で苦労するぞということだ。
しかし世の中には、フェラーリとは正反対の方向性で、「トゲ」のあるクルマが存在する。それは、一般的な価値観からすると、まったくもって箸にも棒にもかかりにくいクルマだ。
たとえばトヨタのプロボックス。純然たる商用車で、一般的な価値観では魅力がない。ではプロボックスはトゲのあるクルマかというと、そうでもない。プロボックスには、一部クルマ好きを引き寄せるプロっぽさがあり、ハズシ技としてアリな「蜜」も持っているからだ。
そういう蜜もない、純然たるトゲだけの現行国産車を5台選んでみた。
文/清水草一、写真/トヨタ、日産自動車、マツダ、三菱自動車(※画像は記事中のグレードと異なる場合があります)
■トヨタ ヤリス1.5X 6MT/154.8万円
ヤリスの1.5ガソリン車6MTの廉価グレードだ。ヤリスのガソリン車には1.0もあるが、そちらはCVTのみ。ヤリスの最廉価グレードゆえ、営業マンの足として活躍している。対する1.5ガソリンの6MTは、すさまじくハードルが高く、トゲに満ちている。
実はヤリス1.5・6MTは、乗るとすばらしくマニアックで、クルマ好きなら大いに楽しめる「蜜」を持つクルマだ。軽量ボディに軽量なエンジンを積み、信じられないほどデキのいい6MTが装備されているのだ。その性能を使い切って走れば、一般的なスポーツカー以上に楽しめる。
がしかし、だからってヤリス1.5X・6MTを買うクルマ好きがどれくらいいるだろう。クルマ好きならGRヤリスに目が行くし、GRヤリスが無理ならスイスポに走るだろう。いかにデキのいいクルマであっても、ヤリス1.5X・6MTを買う者は滅多にいない。それは、選りすぐりの勇者である。
■トヨタ カローラアクシオEX1.5 5MT/161万円
カローラアクシオは、トヨタが営業車需要のために作り続けている先代カローラアクシオ(セダン)の廉価バージョン。しかしそこになぜか、5MTが残されている。「ATは運転したことないから怖くて乗れん! MT一択!」というごく少数の高齢者のために残されているグレードだ。トヨタの親心には泣けてくる。
泣けてくるが、これほどトゲだらけのクルマも珍しい。なぜなら、「ATは運転したことないから怖くて乗れん!」という頑固親父以外には、一切アピールしないからである。
なにしろ先代カローラアクシオだ。今のカローラ(セダン)と比べれば、クルマのデキは月とスッポンなんてもんじゃない。先代カローラはヴィッツをベースに作られた、徹底的にすべてが安っぽい小型セダン。ボディと足回りのスカスカぶりは特筆に値する。
デザインも絶望的だ。中には「あのダメでカッコ悪いのがいい!」という変態志向の方もいるかもしれないが、あまりにも変態すぎて見つけるのが困難だ。しかも5MT! あえてこれを買う人を心から尊敬します。
コメント
コメントの使い方別に企業がらみでもなくミラージュに乗っている。値段の割りに良いクルマだと思っている。
記事は自分の価値観を押し付ける不快なものだ。何故こんな投稿をしたのか理解できない。
ミラージュの文章笑ってしまったw
清水さん面白いなぁ