2023年1月5~8日、アメリカのラスベガスで開催された世界最大のテックイベント「CES2023」。今年も自動車関連の最新技術が出品され、ソニー×ホンダのEVプロトモデル「アフィーラ」も展示された。
※本稿は2023年1月のものです
文/鈴木直也、写真/SONY、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年2月26日号
■ソニー×ホンダがEVプロト初公開! 注目の協業車は何が凄いのか?
世界最大のハイテク見本市のCES。今年の目玉は、なんと言ってもソニーとホンダがコラボするBEVのお披露目だ。なにはさておき、まずは実車にお目にかからないと始まらない。僕もさっそくラスベガスへと足を運んだ。
ソニーは2020年に“VISION-S 01”、2022年に“VISION-S 02”をこのCESで発表してきたが、「AFEELA(アフィーラ)」と名づけられた今度のモデルは、2026年春の発売を明言した市販前提のプロトタイプ。これまでとは本気度がぜんぜん違うはず……。
そう思って登場を待ち構えていたのだが、ステージ左袖から走り出てきたアフィーラの実車を見て、多くの報道陣はいささか「拍子抜け」といったテイ。僕にはそんな風に感じられた。
その理由として、まずはデザインがもの凄くシンプル、別な言い方をすれば地味だったことがあげられる。
メディアがCESに何を求めているかといえば、何はさておき「新しさ」と「刺激」だが、アフィーラは前2作を継承するオーソドックスなセダンだし、デザインの方向性も「調和」とか「静謐(せいひつ)の美」というテイスト。たぶん、確信犯的に逆張りの提案をブッ込んできている。
■アフィーラは単なる電気自動車ではなく走るスマホ!?
それがなぜかといえば、ソニーはアフィーラを単なるBEVではなく、モビリティのプラットフォームとして考えているからだろう。
プレゼンで強調されていたのは、ソフトウェアで定義されるクルマ(Software Defined Vehicle)という言葉。アフィーラが目指しているのは、スマホのように、そのうえで動かすアプリケーションで機能や楽しさがどんどん広がってゆくクルマ。ハードウェアはニュートラルな存在であるほうが好ましいわけだ。
ただ、その肝心のソフトウェアによる拡張は、まだ海のものとも山のものともわからない。
アフィーラにはそのコンセプトを象徴する「3つのA」があると説明されていて、ひとつ目のAutonomy(自律性)は自動運転、2つ目のAugmentation(拡張性)はソフトによる拡張、3つ目のAffinity(協調)はそれによって社会に受容されるといったシナリオが考えられている。
自動車メーカー主導のBEVでは、こういう抽象的かつ高尚なコンセプト設定はなかなか難しい。ソニーが牽引するこの「意識高い系」のBEVづくりが市場にどんなインパクトをもたらすか。ホントに市販化が待たれるクルマでございます。
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