車両価格を頻繁に上下させることでも有名なテスラ。今回はなんと60万円の値下げを行ってきた。「値下げ」と聞くとさすが!と思うがそこにはEV専門の新興メーカーだからできるビジネススタイルがあった。
※本稿は2023年1月のものです
文/国沢光弘、写真/TESLA、ベストカー編集部、イラスト/佐原輝夫
初出:『ベストカー』2023年2月26日号
■テスラの車両価格が世界中で値下げ!
テスラが世界中で値下げをしている。ほかのメディアの報道を見ると、グレードや車種などゴチャ混ぜにしているため、125万円だの200万円などの数字を上げているけれど、そこまで大きい値下げじゃない。
モデル3の最廉価モデルで横串を通して比較すれば、日本が60万円、イギリスは85万円、アメリカ39万円、中国68万円といったイメージ。国によって凸凹している。何でこのタイミングで世界規模の値下げを行ったんだろう。探ってみたけれど、テスラの場合、公式発表なし!
というか何から何まで秘密にしているから興味深い。電池搭載量を聞いても教えてくれない、日本での販売台数公表せず。事故が起きても原因不明。「それがイヤなら買わなくてもいい」という姿勢なのだ。それでも買う人がたくさんいるので私はいいと思います。
閑話休題。日本の値下げについていえば、為替レートによって決めていると考える。円ドルレートが変わると、それによって日本での価格を上げたり下げたりしている。
ちなみにモデル3が最も安かったのは2021年2~4月までの429万円。一番高かったのが2022年6月17日から2023年1月6日までの596万4000円。値下げしたとはいえ現在の536万9000円は、最安値から見れば100万円以上高くなっている。
ここにきて円レートが少し高くなったため、そいつを反映したということなんだろう。今後円高になりそうな雰囲気濃厚のため、500万円を切ることだってありうる。
■日本での値下げと事情が違う海外での値下げ
ただ海外を見ると為替レートだけじゃ説明できない。そもそもアメリカはドル建て。政府が対ドルの為替レートをコントロールしている中国だって為替の影響を受けにくい。モデル3は上海で作っているし。
日本を除く国での値下げについちゃ作為的だと思う。多くの人が「テスラの販売台数低迷のため値下げしている」と言っているけれど、そんなことなんだろう。ここにきてテスラの在庫が増え続けているようだ(本当のところは数字を公表しないため不明)。
日本人は何でもガマンするが、中国人って違う。政府の強権に対しちゃガマンするけれど(逆らうと武力で制圧される)、民間企業に対する不満には容赦しない! 政府も民間企業に対する騒乱は黙って見ている。
考えて欲しい。先週520万円で買ったクルマが突如450万円になっていたら、当然ながら「70万円返せ!」と言いたくなる。じゃなければ値下げすることを告知しろと思う。そんなこんなで中国のテスラディーラーは大騒ぎになっているようだ。
普通の自動車メーカーなら値上げにも値下げにも慎重。ましてや同じ装備内容のまんまで大幅な値下げなんて絶対やらない。在庫をさばきたいのなら値引きで対応しますから。値引きならユーザーは怒らないが、値下げだと商品の価値まで下がるため辛抱タマランです。
今までとまったく違うビジネススタイルを続けるテスラながら、既存の自動車メーカーが魅力的な電気自動車をたくさん出してきた時も競争力を維持できるかどうか大いに気になる。
【画像ギャラリー】頻繁に繰り返される価格変更!! 大幅な値下げが発表されたテスラの各車種(19枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方それほど極端な利幅をとっているメーカーというだけ。
他のテスラ車も同様なのですから今後同様に値下げありそうですね。事故内容から言って安くなっもそれだけの価値があるとは思いませんが。