トヨタを代表するスポーツモデルである「スープラ」。2019年に17年ぶりにトヨタのフラグシップスポーツとして復活し、話題となったスープラですが、その源流は1986年に名車「トヨタ2000GT」の後継として登場した「A70型スープラ」です。シャープなスタイリングとパワフルな走りで一世を風靡した、A70型スープラについて振り返ります。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA
セリカXXが3代目になったとき、海外名であった「スープラ」を名乗るように
A70型スープラ(通称「70(ナナマル)スープラ」)は、「セリカ」をベースに1978年に誕生した上級スペシャリティカー「セリカXX(ダブルエックス)」の3代目。セリカXXの「X」は、当時のライバルである日産「フェアレディZ」の「Z」を意識したものですが、海外ではXが成人映画を意味することから、海外ではスープラと名乗ったのです。ちなみにスープラは、ラテン語で「至上」や「~を超える」という意味で、英語の「スーパー」に相当します。
セリカXXは、従来のセリカよりひと回り大きなボディに、セリカの直列4気筒1.6/1.8/2.0L SOHCから、すべてを直列6気筒の2.0/2.6L SOHCエンジンに変更しているのが特徴。そのラグジュアリーかつパワフルで上質な走りによって、北米でヒットモデルとなったセリカXXですが、1986年にモデルチェンジして3代目となった時点で、セリカシリーズから独立。セリカXXという車名が廃止され、日本でも「スープラ」を名乗ることになりました。国内においては初代となる70スープラですが、海外では3代目スープラだったのです。
名車2000GTの伝統を継承
70スープラは、1967年に登場した名車「トヨタ2000GT」の血統を継承した本格FRスポーツモデルあることを宣言し、「TOYOTA 3000GTスープラ」というキャッチコピーを掲げて登場しました。その謳い文句通り、スポーツモデルらしい洗練されたスタイリングと、2000GT以来の4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションのシャシーにパワフルな直6エンジンを搭載した、シャープなシルエットとパワフルな走りが魅力でした。
ボディは、ロングノーズ/ショートデッキで構成される3ドアハッチバックで、空力性能を意識してフロントグリルのないリトラクタブルヘッドライトや大型エアカットフラップなどを採用し、Cd値は当時のスポーツカーの中でもトップクラスの0.33を達成。スポーツカーのお手本のようなシャープなシルエットですが、2シーターの日産「フェアレディZ」に対して、5名乗車できるラグジュアリーな雰囲気で差別化を図っていました。
エンジンは、直列6気筒の高性能エンジンを搭載。トップグレードの「3.0GTターボ」には、当時最強の230PSを発生する3.0L直列6気筒DOHC 24バルブ・インタークーラー付ターボを搭載し、0-100km/h加速は6.4秒、最高速度は232km/hと圧巻の走りを記録。その他にも、日本で初めてツインターボを導入した185PSの2.0直6 DOHCとNA(無過給)エンジンも用意されました。
パワフルなエンジンに加えて、足回りには2000GT以来となる4輪ダブルウィッシュボーンやTEMS(電子制御サスペンション)などを採用し、1987年の全日本ツーリングカー選手権では、デビュー戦でいきなり優勝を飾るなど、レースでもその実力を証明しました。
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