■人気のレクサスRXとサイズ感が近いRZ
SUVスタイルにしたことで、RZの外観は、同じレクサスに属するSUV、RXに似ている。RZの全長は4805mm、全幅は1895mmだから、RXに比べて85mm短く25mm狭いが、ホイールベースは同じだ。RZの全高は1635mmだから、RXのハイブリッドに比べて65mm低い。
RZはRXとホイールベースが同じながら、若干コンパクトだから、外観には引き締まり感が伴う。
フロントマスクは、RXはグリルを大きく見せるレクサスらしいスピンドル形状だが、RZは電気自動車だから、スピンドルを継承しながらボディ同色に仕上げた。
内装では、インパネのデザインや質感は両車とも似ている。中央には大型ディスプレイが備わり、ドライバー側へ少し傾けて装着した。ATの操作は異なり、RZはダイヤル状で回転させるが、RXはレバーを前後に動かす方式だ。
RZにはステアリングの動きを電気信号で伝えるステア・バイ・ワイヤ方式も用意され、このステアリングは、長方形の特別なデザインとした。
前席の座り心地は両車とも似ている。少し硬めで体が座面に沈むタイプではないが、背もたれの下側と座面の後方をしっかり造り込み、長距離移動時の疲労を抑えた。
後席も似ている。両車とも床と座面の間隔が少なめで、SUVとしては腰が落ち込んで膝が持ち上がる。それでも座面の前側を持ち上げたから、大腿部が座面から離れることはない。その半面、小柄な乗員が座ると、やや圧迫感が生じそうだ。
身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席の頭上空間は、両車とも握りコブシ1つ分を確保した。後席の膝先には、両車とも握りコブシ2つ半以上の余裕があり、着座位置は低めながら窮屈ではない。このようにRZとRXのパワーユニットは大きく異なるが、居住性は似ている。これは開発や製造の合理化でもある。
■EVならではの鋭いレスポンスが魅力
RZのバリエーションは、Version Lと特別仕様車のFirst Editionの2種類。パワーユニットは前述の4WDのみだ。前輪に最高出力が150kW(204馬力)、後輪に80kW(109馬力)のモーターを搭載する。
RXには、2.4Lターボを搭載するRX350、2.4Lターボ+ハイブリッドのRX500h、2.5LでプラグインハイブリッドのRX450h+がある。駆動方式は、RX350には前輪駆動の2WDもあるが、RX500hとRX450h+は、後輪をモーターで駆動する4WDのみだ。
RX350の最高出力は279馬力、RX500hのエンジンとモーターを合計したシステム最高出力は371馬力、RX450h+は309馬力になる。RX450h+が搭載する駆動用リチウムイオン電池の総電力量は18.1kWhで、1回の充電によって86kmを走行できる。
RZのプロトタイプに試乗すると、モーター駆動のみのだから、動力性能はエンジンを搭載するクルマとは根本的に異なる。巡航中にアクセルペダルを踏み増した時の反応は機敏だ。駆動力が一気に立ち上がる特性は敢えて抑えたが、滑らかに速度を急上昇させる。
RZの停車状態から時速100kmに達するまでの加速タイムは5.3秒とされ、スポーツカーのGR86が6秒少々だから相当に速い。しかも電気自動車だから無音に近く、静かに急加速するため、独特の迫力も感じさせる。
RXの中で加速感がRZに一番近いのは、2.4Lターボ+ハイブリッドのRX500hだ。実用回転域の駆動力が高いが、エンジンの存在感も強い。エンジン回転の上昇に伴って加速力が増してきて、レクサスとしては回転感覚が少し粗削りだ。街中や高速道路の巡航では静かだが、アクセルペダルを踏み増すと、ザワザワした印象になる。
ノイズや回転の滑らかさでは、2.5LプラグインハイブリッドのRX450h+がRZに近いが、動力性能は3.5Lのガソリンエンジンに相当する。RZほどパワフルではない。このようにRZの動力性能は、レクサスのSUVとしては上質で力強い。
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