■異なる走りの魅力を持つ価格の近しい2台
RZは走行安定性も優れている。電動自動車は低い位置に駆動用リチウムイオン電池を搭載するから、重心が下がってボディ下側の剛性は高く、走行安定性を高めやすい。RZはこの特徴を生かしている。
ちなみにbZ4Xは、良く曲がる代わりに、走行状態によっては後輪の接地性が削がれやすい。姉妹車のソルテラは、後輪の接地性は高いが、ステアリング操作に対する反応は少し穏やかだ。
RZはボディやサスペンションの取り付け剛性を高め、駆動力制御をさらに綿密に行うことで、bZ4Xとソルテラのメリットを併せ持つ。峠道などでカーブを曲がりながらアクセルペダルを踏み増しても、旋回軌跡を拡大させにくい。
曲がっている最中に危険を避けるため、アクセルペダルを戻したりブレーキペダルを踏んでも、後輪の接地性が下がりにくい。ほかのSUVでは、横滑り防止装置が介入する場面でも、RZであれば安定を保てる。
RXの場合、2.4Lターボ+ハイブリッドのRX500hは、機敏に向きを変える。その代わり下り坂のカーブで危険を避ける時などは、後輪の接地性が不足気味に感じることがある。
2.5LプラグインハイブリッドのRX450h+は、運転感覚は馴染みやすいが、ステアリング操作に対する反応は穏やかだ。RX500hのようなスポーティな印象は受けない。
その点でRZは、機敏でスポーティな回頭性と走行安定性を両立させ、奥の深い運転感覚を味わえる。そしてこの特徴は、今のレクサスブランドが目指す理想の走りに近い。つまりRZはレクサスの集大成ともいえるわけだ。RXの先を走るのがRZともいえるだろう。
なおRZに用意されるステアリングの動きを電気信号で伝えるステア・バイ・ワイヤ方式は、画期的な機能だ。テスト車両は、低速域では、長方形のステアリングを少し回しただけで車両の向きが大きく変わった。慣れないと違和感が生じるが、操舵角度はきわめて小さい。
高速になると通常のステアリングギヤ比に近付く。慣れると便利に使えるが、ステア・バイ・ワイヤ方式と、一般的なステアリングの車両を交互に使う時は、注意せねばならない。
この機能は身障者用車に適している。ステアリングホイールに装着された丸いノブを持って、片手でグルグル回す必要がないからだ。また操舵量の大きなトラック、工事現場などで使われる各種の作業車などに応用すると合理的だろう。
RZの価格だが、Version Lが880万円、特別仕様車のFirst Editionが940万円だ。RXで価格が最も高いRX500h・Fスポーツパフォーマンスが900万円となっている。レクサスファンにとっては究極の選択になる。
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