■美しすぎてドアノブも不要?:ランボルギーニ ミウラ
奇才マルチェロ・ガンディーニが手掛けたスーパーカーのアイコン、ランボルギーニ ミウラ。1966年に誕生したミッドシップ2シーターV12スポーツは、21世紀のいま見ても斬新そのものだ。
強烈なデザインで多くの人の記憶に刻まれているはずのミウラだが、しかし、ドアハンドルがどこにあるのかはあまり知られていないかもしれない。写真をよくみてもらえばわかるように、ドアにはハンドルらしき存在は一切見当たらない。
ドア後方にエアインテークに並べられたフィンはミウラのデザイン上のおおきな特徴だが、じつはこの一番下がハンドルの持ち手になっているのだ。
「え〜せっかくこんなに綺麗にデザインしたのに、ハンドルいるの? 付けるの?」とガンディーニが思ったかどうかは分からないけれど、ハンドルをあくまでデザインの一部として溶け込ませてしまった“擬態テク”は、まさしく天才的といえる。
■ボディサイドのダクトに隠しボタン:ランボルギーニ カウンタック
1974年に登場したカウンタックは、ミウラの後継という巨大なプレッシャーを背負わせられながらも、その重圧を軽く払い除けてみせる超凄個性派スーパーカーとして生み出された。刃物のように鋭いスタイルは、まるでコンセプトカーがそのまま市販化されたようだった。
このビビッドなデザインを手がけたのも、もちろんガンディーニ。ミウラではドアハンドルをフィンの一部として擬態させるというテクを見せつけた彼は、カウンタックでは特徴的なサイドのNACAダクト内にボタンスイッチとして“隠蔽”することに成功している。
■フェラーリは激ムズハンドルの常習犯:フェラーリ F355
V8フェラーリの系譜のなかでも根強い人気をもつF355は、348が採用していたテスタロッサ風のサイドエアインテークフィンを脱ぎ捨て、シンプルでミニマムなデザインをまとって登場した。
その無駄のないスタイリングを乱さぬよう、ピニンファリーナが考えだしたのが「隠しドアハンドル」スタイルだ。ドア下半分、エアインテーク前方に大きく抉り込まれたくぼみ部分の“軒下”にF355のハンドルは隠されている。
彼らは、過去にもディーノ(ウインドウモールに馴染むように小さな横型ハンドルを配置)、308や512BB(ブラックアウトされた窓枠と同化する小さな縦型黒ハンドルを配置)、テスタロッサ(サイドフィンの内側に配置)など、見つけるのが激ムズなハンドルデザインを多く輩出してきた。
フェラーリの門戸はやはり、なかなか一見さんには開けづらいのである。
■乗り方はもちろん降り方も分からない:TVR各車
2000年代には日本に正規代理店が存在したイギリスのTVR。タスカンやグリフィン、キミーラといった、個性を煮詰めて濃厚なエキスにしたようなスポーツカーの数々は今も記憶に新しい。
いまではすっかり希少車となってしまったが、もしもあなたがTVRに試乗する機会に恵まれたなら、必ず確認していただきたいのがドアの開け方である。
このTVR、ドアのどこを見回しても、ボタンやセンサー、ハンドルの類は見つからない。クルマの横にしゃがみ込んで、サイドミラーの下部分に配置された小さな小さなスイッチを見つけない限り、初見のユーザーは途方に暮れることになるだろう。
ところで、TVRに試乗する前に、もうひとつだけ確認しておくべきことがある。それは「降り方」。車内から降りようと思ったら、キャビンの中に隠されるように配置されたボタンを探し出さなければドアを開けることはできない。
しかもその場所が車種によって違うのだ。乗るのも難しければ降りるのも難しい。もちろん運転だって一筋縄にはいかない。2000年代のTVRはまさしくそんなクルマだったのである。
【画像ギャラリー】初見で分かったアナタはクイズ王!? スーパーカーはドアハンドルの位置もスーパー!!(22枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方こういう記事、面白いですね。こういったスーパーカーは、車好きなら知っていても開け方までは知らなかったという人が多いはず