いくらセダンが不人気だからといって、さすがに伝統的なモデルはなんとか残っていくだろうと思っていたのだが、かつて一世を風靡した日産のフラッグシップである「シーマ」、そして80年代に華々しく活躍した「セドリック」/「グロリア」の系譜である「フーガ」という日産の伝統的なセダン2種が、2022年8月生産終了となってしまった。
日産に、現状フラグシップといえるモデルが不在であることは、クルマファンとしてはさみしい限り。はたして、シーマそしてフーガの後継モデルは登場するのだろうか。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN
好景気の時代だったからこそ、人気モデルになることができた
グロリアは1959年、セドリックは1960年に初代モデルが登場。グロリア4代目/セドリック3代目から姉妹車となった両モデルは、日本初のターボエンジンや6気筒のディーゼルエンジン搭載など、歴代を通して日産らしい技術面でのこだわりが魅力のモデルで、走りにこだわる若者の支持が高かった。特にY31型(7代目)に設定された「グランツーリスモ」はその象徴だった。
この流れのなか、1988年にセド/グロのさらに上級モデルとして「シーマ」が誕生。高額商品が飛ぶように売れた高級志向な時代も手伝って、「シーマ現象」という言葉が登場するほど、シーマは爆発的な人気に。それまでの国産車には見られなかったエレガントなデザインに加え、3.0L V6DOHCターボ搭載でリアを沈めながら加速していく姿に多くの中高年が憧れた。
ライバルのクラウンは日本の美意識に寄り添った高級サルーンというイメージであるのに対し、セド/グロは実直でクリーンなデザインながら、スポーティさや性能の高さをイメージするモデル。技術の高さを全面に掲げたい日産にとって、コストの制約が少ないシーマやセド/グロは、幅広くユーザーを獲得できる絶好のモデルであり、高級車がバンバン売れるという好景気の時代と重なったことで、爆発的な人気となった。
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