トヨタ センチュリーSUVは不安だらけ!? ディーラーマンが歓迎しきれないワケ

■トヨタブランドが超高級車を扱うリスクとはなにか?

現行型センチュリーは2018年にデビュー。安全装備やハイブリッド化による燃費性能を向上
現行型センチュリーは2018年にデビュー。安全装備やハイブリッド化による燃費性能を向上

 2022年、1年間で販売されたセンチュリーの台数は160台。約5000もの店舗網をもつトヨタ販売店の中で、わずか3%程度しかセンチュリーを売ったお店がないという現状をどう見るか。

 トヨタブランドの中で、唯一車両本体価格が1000万円を越えるクルマがセンチュリー(車両本体価格2008万円)だ。

 ショーファーカーはこの程度の販売台数だろうという妥当性も見えるのだが、この状況でトヨタディーラーがセンチュリーSUVを取り扱うのはリスクが大きいと思う。

 トヨタはあえて、高級ブランドとしてレクサスを立ち上げた。レクサスはトヨタと完全分離し、「高級とは何か」を考え、実行する集団になったのだ。逆を言えば、トヨタではレクサスと同じことはやらないという意思表示のようにも見える。

 トヨタブランドが超高級車を自分のものにして販売できるのかは疑問だ。長年センチュリーを扱ってきたトヨタ店でも、どうすればセンチュリーオーナーが満足するお店になれるのかという答えが、まだ出ていないように筆者は思う。

■オーナーが求めるサービスが他のクルマと全然違う!! 売るなら専門ディーラーが必要

センチュリーは高額なクルマで、生産体制も特別であるため、販売に対する敷居は非常に高い
センチュリーは高額なクルマで、生産体制も特別であるため、販売に対する敷居は非常に高い

 センチュリーを売っているというよりも、売ったセンチュリーに踊らされているディーラーが多い。

 実際にトヨタディーラーではセンチュリーに対して「(販売や管理が)難しいクルマ」という声が多く出る。センチュリーの商談を行うだけでも、ディーラー本部への連絡を義務付けるトヨタ販社が多く、販売に対する敷居は非常に高い。

 さらに若手から中堅営業マンたちは、クラウンマジェスタやセルシオといった、トヨタの超高級車を扱ったことがない。販売はもちろんだが、アフターフォローをどうすればいいのか分からないという悩みも多かった。

 万全かつ充分すぎるアフターフォローを求めるオーナーが多いのも超高級車の特徴。

 センチュリーだけを区別して接遇することに対し、不安を口にするディーラー関係者も多い。オーナー対応の指針がメーカーから出てこないと、こうした不安は解消されないだろう。

 センチュリーSUVを全チャネルで販売することで、トヨタディーラー全体の接遇レベルが底上げできる可能性はある。しかし、他車オーナーから見れば、区別が差別ともとられかねない。

 センチュリーSUVの販売へ向けて、トヨタディーラーにGRガレージのような専門部署を立ち上げたいところ。クルマが特別でも売り手が普通では、クルマの魅力が最大限に生かされないからだ。

 通常業務を行いながら、ディーラー主導でセンチュリーSUVのオーナーだけに特別待遇を強いるのは酷である。メーカーが主導して、販売に関する準備も行うことが、センチュリーSUVの価値を高め、成功へと導くカギとなるだろう。

■トヨタブランド大変身!? センチュリーSUV登場で大幅レベルアップの予感

日本が誇るショーファーカー「センチュリー」がSUVとなって、トヨタブランドがどのように変わるのか注目!
日本が誇るショーファーカー「センチュリー」がSUVとなって、トヨタブランドがどのように変わるのか注目!

 センチュリーSUVは、新時代に向けたトヨタの仕掛けの一つだと思う。

「壊れない」「安心・安全」「比較的廉価」という3拍子が世界的に見たトヨタのブランドイメージだ。世界的な高級自動車メーカーと比較すると、「上質・高級」というイメージはまだまだ薄い。

 長い歴史の中で醸成された世界の高級ブランドに追いつき、追い越すためにも、トヨタブランドの価値を高めていくことは必要不可欠である。これを日本人の作る最高のクルマ「センチュリー」をきっかけにして、改革していこうという姿勢が見えるのだ。

 自動車業界が大きく変革しているこの時代。同時に、トヨタというブランドも大きく変わろうとしている。これまでの大衆的なイメージから脱却し、トヨタブランドの質を高め、再始動できるのか注目していきたい。

 センチュリーSUVやクラウンの世界展開はその足掛かり。トヨタが高級ブランドとして世界に羽ばたく準備は整った。あとは華麗に舞い上がるだけだ。

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