■走り出したら「アクセル」「ステアリング」「車間距離」に気を付ける
近所への買い物など一度に10分以内の走行しかしない「チョイ乗り」は、エンジンの寿命を縮めてしまうシビアコンディションと言われる状況に入る。クルマは便利な乗り物だけれど、近所の買い物にしか使わないのは、これまたクルマの寿命を縮めてしまう。
チョイ乗りもデポジットやインジェクターの目詰まりなどを起こしてしまうし、エンジンオイルの汚れも激しくなるので、オイル交換の頻度を高める必要が出て、メンテ費用も嵩んでしまうのだ。
さて、走り出したらどんな点に気を付けるか。よく「急の付く動作はクルマを傷める」と言われるが、急加速や急ブレーキ、急ハンドルをわざわざ行なっているドライバーは、ほとんどいない。そんな運転をしていたら周囲のクルマのリズムと調和しないし、交通事故を起こすか、同乗者をクルマ酔いさせてしまう。
最近のクルマは損失を低減しつつ、出足のよさや燃費を向上させているので、普通にアクセルを踏み込むだけで結構な発進加速力を発揮してくれる。
その結果、アクセルペダル操作を雑に行うと、「加速し過ぎて減速する」という運転になりやすい。これは燃費にも悪いし、ペダル踏み間違いを起こす原因にもなりかねない。
ステアリング操作にもコツがある。ステアリングを大きく切った状態での発進加速は、タイヤばかりか駆動系への負担が大きく、ドライブシャフトなどの寿命を縮めるためだ。アクセルを踏むのは、できるだけステアリングが直進状態にあるときにとどめよう。
意外なことにも長寿のポイントが隠れている。近年、保守予算の不足なのか大型トラックが増えたのか、路面の状況が悪化している印象を受ける。路面に穴が空いていたり、大きな凸凹があることも珍しくないのだ。
そんな大きなギャップは避けて走った方が快適だし、足回りやタイヤホイールへのダメージも抑えられる。
「そんなことは分かっているよ」と言われそうだが、そうした状況に陥りやすいのが、自分の運転に原因があることに気付いていない人も多い。
その典型的な例が、車間距離が短いドライバーだ。前走車だけを見て運転していると、気付かないうちに車間距離は短くなってしまう。車間距離を十分に確保していれば、路面の状況を把握して、穴などを回避することも可能になるのだ。
車間距離をしっかりと確保していれば、前走車の小刻みなブレーキ操作に合わせていちいち減速する必要もないから、燃費も良くなりブレーキパッドもタイヤも長持ちして、一石三鳥だ。
■一定の「手荒な扱い」はメーカーもある程度想定済み?
近年はクルマが大型化しており、狭い駐車場での切り返しなどは、据え切りしないと停めにくいことが多い。これはステアリングに悪影響だが、クルマが完全に停止しないうちに「R>D>R」とシフト操作を繰り返すこともATには良くない。
とはいえ、こうした据え切りやスイッチバックは、自動車メーカーも想定内の乗り方として耐久テストを行い、10年10万kmくらいは壊れないような対策を施している。だから5、6年ごとに新車に買い替えるような使い方なら、あまり気にする必要はないともいえる。
ここで頭に入れておきたいのが、近年のクルマの変化だ。近年は電動化が急速に進むいっぽう、内燃機関自動車の生き残りも噂されている。「次はEVに買い換えたほうがいいのか、それともエンジン車に乗り続けられるのか」が非常に分かりにくい状況になっているのだ。
たとえば走行距離が10万km前後となってきた時、車検の費用がかさんだり、ATの修理に莫大な費用がかかってクルマを手放すような事態は避けたい。
そのためにも、普段のちょっとしたクルマへの気遣いを大事にしよう。その時もう1回車検を取って普通に新車に買い替えられるかは、日頃の乗り方が決めることになるのだ。
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