ひと晩寝れば運転OKは危険かも!! アルコールの影響はどこまで残るのか?

ひと晩寝れば運転OKは危険かも!! アルコールの影響はどこまで残るのか?

 酒を飲んだらもちろんクルマの運転は厳禁。では飲酒後、どのくらい経ったら運転OKなのだろうか? この疑問にJAF(日本自動車連盟)が興味深い実験を行った。飲酒後眠って10時間経過しても、アルコールの影響は残るというのだ。その詳細をお伝えしよう。

文/ベストカーWeb編集部、写真/JAF、Adobestock(トップ画像=Andy Dean@AdobeStock)

■いわゆる「酒が抜けた」状態になるのはいつ?

2022年11月、JAFは中央研修センターにおいて男性3人、女性3人の「飲酒前」「飲酒直後」「一晩眠った翌朝(飲酒開始から10時間後)」における運転能力を比較する実験をおこなった
2022年11月、JAFは中央研修センターにおいて男性3人、女性3人の「飲酒前」「飲酒直後」「一晩眠った翌朝(飲酒開始から10時間後)」における運転能力を比較する実験をおこなった

 JAFは、男性3人、女性3人の計6人の被験者にお酒を飲んでもらい、「飲酒前」「飲酒直後」「一晩眠った翌朝(飲酒開始から10時間後)」における運転能力を比較した。

 飲んだお酒の種類や量はそれぞれ異なるが、結構なお酒好きが集まった印象。たとえばある被験者は「ビール1杯、水割り1杯、白ワイン3杯、赤ワイン3杯」といった具合だ。

 飲酒直後の呼気アルコール濃度でもっとも値が高かった人は0.63mg/L。道交法では「0.15~0.25mg/Lで違反点数13点(90日間の免許停止)」、「0.25mg/L以上で違反点数25点(免許取り消し+欠格期間2年)」となるから完全にアウトだ。

 この6人に対して課されたテストは2つ。ひとつは運転シミュレーターを使った運転能力の比較。もう一つは視覚機能(視野の広さや目の動き)への影響だ。

 まずは運転能力の比較テスト。飲酒直後は飲酒前と比べ、以下のような傾向が見られた。

・ハンドル操作が雑になり、壁にぶつかったり、まっすぐ走れなくなった

・アクセル操作がスムーズにいかなくなり、急加速したり、またブレーキ操作が雑になった

・確認や判断ミスが多くなり、事故を引き起こす人もいた

・飲酒直後、被験者2から「飲酒前よりも視野が狭くなった。人を発見していたが、体が動くまでラグがあって事故になった」とのコメントがあった。

 上記は完全な酒酔い状況下での運転なのである程度予想は付く。ではお酒を飲んだ翌朝はどうだったろうか? じつはここでも飲酒前と比べ、操作ミスや確認・判断ミスが多かった。操作・判断ミスの回数でいうと、飲酒前の11回に対して飲酒直後は41回、ところが翌朝も30回という明らかに高頻度の結果が出た。

 正直な発言もあった。被験者4は「翌朝、呼気濃度は出なかったが、体にだるさが残っている。運転もいつもよりパフォーマンスが落ちている感じがあった」とコメント、他にも同様に体の不調を訴えるような声が寄せられたのだ。

 ここで重要なのは、飲酒開始から10時間が経った翌朝の呼気アルコール濃度チェックでは、6人中4人が濃度0だったこと。つまり道交法的にはなんら問題はないのだが、運転の質自体は低下している(=事故を起こしやすい)ということは多くのドライバーが自覚すべき事実だろう。

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