■台湾で大きなシェアを持つトヨタ車タクシー
台湾のタクシーといえばコロナ禍前は現地生産していることもあり、トヨタ・ウィッシュが圧倒的に多かった。
そもそもは一般乗用車としても人気が高く筆者は台湾を“世界一ウィッシュを愛する地域”と呼んでいた。その台湾ではコロナ禍直前にはタクシー車両に特化したかのように台北市内ではウィッシュタクシーが活躍していた。
筆者が利用した車両ではサードシートを使っていなかった(なかった?)ので、ラゲッジルームが広く、荷物の多い旅行客にも重宝されていた。
しかし、そのウィッシュの生産がコロナ禍前に終了し、“ポストウィッシュタクシー”はどうなるのかと思っていたら、トヨタシエンタ(日本での先代)のタクシーが勢いを持って台北市内を走り始めたのを目撃した。
ただ、その後コロナ禍となりほぼ3年間台湾を訪れることができなかったなか、今年3月に久しぶりに台湾を訪れると、到着した台北近郊の桃園空港にはトヨタRAV4タクシーばかりがいた。
「RAV4になったんだ」と思い台北市内に入ると、RAV4ではなく、“トヨタ カローラクロス タクシー”が多発していた。
そうはいっても、ウィッシュのころもそうだが、タイにおけるカローラタクシーほど、圧倒的にウィッシュだらけやカローラクロスというわけではなく、カローラ アルティスのタクシーも目立つ。
また、ほかに少数ながらさまざまなトヨタ以外の車種のタクシーも走っているが、トヨタ車のタクシーが全体で見ても多くなっているのが現状といえよう。
コロナ禍直前に増えていたシエンタは、コロナ禍後になって訪れてみると少数派となってしまっていた。日本以外のタクシー車両のドアはすべて手動で開け閉めするのがスタンダードとなっている。
そのなかでシエンタタクシーはオートスライドドアを採用しているのだが、手動で開け閉めするよりも時間がかかるのは否定できない。
また日本国内でも乗用需要となるが、ミニバンを長期間乗り続けると、オートスライドドアに不具合が出て部品交換などが発生するのも珍しくないとのこと。いろいろ考えると、やはりオートスライドドアが普及の“壁”になったのかなと考えた。
また筆者が乗ったのは1.5Lガソリン仕様だったが、やはり1.5Lでは非力感は否めず、エンジンが元気よくまわっているシーンが多かった。先代モデルでもあったので床からの振動なども目立ち(TNGAプラットフォームでもないので)、タクシー車両としては限界があるように感じた。
そんななか、それほど腰高感も目立たない、クロスオーバーSUVスタイルのカローラクロスに白羽の矢が立ったのかもしれない。
筆者が訪れたことのあるほかの東南アジア諸国の状況だが、インドネシアでは、新興国向けコンパクトMPVとなる“アヴァンザ”をベースとした専用車賞となるトランスムーバーが、トヨタの新興国向けコンパクトセダンとなる“トヨタ ヴィオス”ベースのタクシー専用車“リモ”の後継のような勢いでジャカルタの街なかを走っていた。
ベトナムのホーチミン市のタクシー車両といえば、中型で多人数乗車可能なMPVとなる“トヨタ イノーバ”となっている。
つまり、タイだけでなく東南アジア地域の多くの国々ではタクシー車両といえば、その大きさなどに違いはあるが、トヨタ車が圧倒的に多いのである。
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