“24時間働けますか”を具現化! 電話、ファックス完備の移動オフィス
高級ミニバンである前述のハイエースと対をなす最高級車として、同年トヨタがデビューさせたのが初代「トヨタ・セルシオ」だった。
「センチュリー」を除けば、“アガりのトヨタ車”だった「クラウン」を超える旗艦車であり、“高級車の新しい世界基準。”を謳い誕生したセルシオ(※特にC仕様Fパッケージ)。
実質的ライバルだった「日産・シーマ」がドライバーズカーだったのに対し、後部座席でのくつろぎやビジネスシーンでの機能性や機動性を重視していた。
後席の電動パワーシートには、当時の国産車では目新しかったマッサージのバイブレーション機能とシートヒーターを内蔵。後席から助手席をコントロールし、レッグスペースや前方視界を拡張できたうえ、エアコンなどの空調やオーディオも後席を配慮した設計だった。
後席のセンターアームレストには各種操作ボタンが集中配置され、その横には後部座席用の「自動車電話」も設置可能。助手席グローブボックスには「自動車ファクシミリ」まで搭載可能で、まさに“24時間働けますか”な、モバイルオフィスのルーツと言えるものだった。
そう考えると、タイヤノイズや外部からの騒音を抑えるセルシオの静寂性は、仕事に集中したり、休息をとりやすくすることにも寄与していたのだろう。
ホームシアターか高級ラウンジか!? 自宅のようなくつろぎを
自動車における贅沢な装備品としてマッサージ機能をあげるクルマ好きも多いだろう。初代セルシオの「C仕様Fパッケージ」にも採用されていたが、搭載されていたのは後部左側座席のみだった。
そして時代は変わり、現行「レクサス LS」は、後左右席はもちろん(※後席は一部グレード)、なんと前席までマッサージ機能を備えている。
LSの「フロントリフレッシュシート」は、前席向けのマッサージ機能で、シートバックとシートクッションに内蔵したエアブラダー(空気袋)を膨張させることで、背中から大腿部を押圧し心身をリフレッシュさせてくれる。
後席はさらにグレードアップ。押圧に加え、肩部と腰部に専用のヒーターを設置し、合計7つのコースを設定する「温感リラクゼーション」が搭載されている。こういう気遣いがニクいのである。
また、今でこそ当たり前になった室内の間接LED照明。航空機を思わせる上質な空間演出をトヨタ車として初めて採用したのもラグジュアリーミニバンとしての立ち位置を明確にした、2015年発売の「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」だった。
LED灯の技術的な進化で、色変更や調光をカスタマイズできるようになったことで、日本でもトヨタ・アルファード/ヴェルファイアが国内で初めて採用、それが「LEDルーフカラーイルミネーション(色替え+調光機能付)」だった。
後席の頭上空間をUの字型に光のラインで囲うLEDライトは全16色、4段の調光機能を備え、同車の上質な室内空間を象徴するアイコンとなった。
アルファード/ヴェルファイアはこの他にも、助手席や7人乗り仕様の2列目シートにおけるオットマン付き電動シートや、合計17個ものスピーカーを備えたメーカーオプションのオーディオ「JBLプレミアムサウンドシステム」など、車内での過ごし方を根本的に変えるような装備を次々に打ち出した。
高級車=4ドアサルーンという日本人のイメージを一新し、政府要人や芸能事務所の定番送迎車となった。まさに“いつかはクラウンからいつかはアルファード/ヴェルファイア”となったことは、ご承知のことだろう。
この初夏にフルモデルチェンジを予定しているアルファード/ヴェルファイアだが、次はどんな上質装備でユーザーを驚かせてくれるのだろうか。
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