■ディスプレイオーディオ台頭もデカかった
しかも自動車メーカー自身も、コスト低減を目的としてカーナビ機能をスマホに任せることをグローバルで展開することとなり、そのためのディスプレイオーディオ機能を搭載したIVI(In-Vehicle Infotainment)の受注競争も激しさを増していた。
さらに日本で音が良いカーナビとして知られた「ダイヤトーン」ナビにしても、パナソニックやパイオニアのような数で勝負できる状況にはない。こうした事情を踏まえ、三菱電機はカーナビを含むマルチメディア事業の撤退を決めたのだ。
■他のメーカーの撤退は早々ない!? 支えるのは中古車市場
では、こうした状況は他のカーナビメーカーにも波及するのだろうか。現状を見ればカーナビを取り巻く環境は厳しいように見える。
電動化の流れもあり、新車にはエアコンの操作や車両設定までが行えるIVIが普及し、ディスプレイオーディオの普及も確実に進んでいる状況にあるからだ。
だが、実際はそうとは言い切れない背景がある。日本には巨大な中古車市場があり、加えてカーナビ需要は大画面志向へと向かっている。こうした需要が市販カーナビ市場をしっかりと支えているというわけだ。
電子情報技術産業協会(JEITA)が2月に公表した資料「AV&IT機器世界需要動向~2027年までの世界需要展望~」によれば、日本のカーナビ需要は2019年の604万台をピークに減少傾向にあり、22年にはなんと約200万台減の404万台にまで落ち込んでしまった。
その最大の要因がコロナ禍による影響だ。折しも19年10月に実施された消費税増税からマイナス基調が続いていた中で、各販売店への来店者数が激減。
加えて自動車の生産台数を減らしたことに伴う販促活動の自粛とも相まって、一気に需要減速が起きたのだ。
しかし、JEITAの今後の需要動向を見ると、2023年には455万台となり、27年には508万台へと需要が回復することを見込んでいる。この中にはIVIが含まれているので、市販カーナビの需要拡大を意味するものではない。
それでも現時点で全体の約半分が後付けカーナビ需要であり、27年でも約4割程度を占めると見込まれている。
これは前述したように日本には巨大な中古車市場があり、同時に運転アシスト機能の普及に伴い車内で少しでも快適に過ごしたいとの想いが大画面カーナビのニーズを生み出しているからだ。
一部ではディスプレイオーディオの需要拡大も見られるが、高精度かつ高機能なカーナビに慣れた人がスマホによるカーナビ用アプリを使えば能力的に不満が残るのは間違いない。
もちろん一定の需要は生まれると思うが、海外ほど日本ではディスプレイオーディオへの転換は生まれず、カーナビ需要は今後も根強く続いていく。
一方でIVIの普及によっていずれは中古車市場でもその対応が迫られていくのは確実だ。そんな時に、市販カーナビがIVIにどう対応するか。そこにこそ市販カーナビが今後も生き残っていく術があるのだと思う。
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コメント
コメントの使い方マジか…
ホンダのギャザズナビどうなるんだ?
確かパナソニックと三菱があったはずだけど…