開け閉めの際にドアパンチしてしまう心配もなく、狭い場所でも乗り降りがラクで、荷物を持ったまま乗り降りができ、自動で開閉してくれるものもある、クルマのスライドドア。超絶便利なことから、後席がスライドドアタイプのモデルが多い軽のスーパーハイトワゴンやミニバンは、国内で常に人気のあるカテゴリとなっている。
ただ、それ以外、たとえばSUVなどではスライドドア車はみかけない。人気のSUVに便利なスライドドアを搭載すれば爆売れしそうだが、現時点の国内ラインアップには存在しないし、輸入車となるとさらにスライドドアを搭載しているクルマが少なくなる。便利であるにもかかわらず、なぜスライドドアは普及しないのだろうか。
(編集部注/軽ハイトワゴンの雄、ダイハツムーヴが、次期型から後席スライドドアを採用することになった。このジャンルでスライドドアの採用が始まると、一気にさまざまなジャンルへ広まる可能性もある)
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、Mercedes-BENZ、DAIHATSU、SUZUKI
背高モデルに限られるスライドドア
現時点、スライドドアを持つ国産車のラインアップは、ラージミニバンのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」や「グランエース」、日産の「エルグランド」、三菱「デリカD:5」、そしてミドルミニバンのトヨタ「ノア/ヴォクシー」、日産の「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」、コンパクトカーではトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」、トヨタの「ルーミー」やダイハツの「トール」、スズキ「ソリオ」といったところ。軽自動車では採用例が多く、ホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」、スズキ「ワゴンRスマイル」など。そのほか商用モデルでは、スズキ「エブリィ」、トヨタ「ハイエース」、トヨタ「タウンエース」、トヨタ「JPN TAXI」、日産「キャラバン」などがスライドドアだ。
多いようにみえるが、基本的にはミニバンと軽のハイトワゴン、そして一部の(背の高い)コンパクトカーに限られる。デリカD:5は、SUV+スライドドア」の組み合わせだが、上屋のかたちは7人乗りのミニバンそのものだ。
こうしてみると、スライドドアは、ミニバンのような背高のモデルに限って採用されていることがわかる。もちろんドアをスライドさせるためのスライドレールを設置しやすい、ということもあるのだが、背高モデル以外のSUVやハッチバック、ステーションワゴンなどでスライドドアが広がらない理由はほかにもある。
コメント
コメントの使い方かつて後席左側をスライドドアにした、初代及び2代目の RVR という時代の徒花が…。現行のRVRは普通のヒンジドアですが。
両側がスライドドアでも剛性が確保(1輪が浮いていてもスライド開閉可能)できていて、45度登坂もモーグル路走行もできるといった、ミニバンの皮を被ったSUVは、デリカ以外には出ないでしょうね。何せヒンジドアのSUVでもデリカより走破性で劣る街乗り専用車種も多数有る位ですから。
3代目スズキアルトセダン。運転席、助手席ともスライドドア車が設定されてましたね