200万円台でBEVが買える中国市場
トヨタの「bZシリーズ」は、主に中国や米国、欧州といったBEV需要の高い国に向け、導入されている。そのひとつである、昨年10月に登場したセダンタイプBEVの「bZ3」は、中国市場のニーズに応えるため、トヨタと一汽トヨタ(トヨタと第一汽車の合弁会社)が共同で開発したモデルで、BYDのリチウムイオン電池を搭載し、満充電時の航続距離は616km(中国CLTCモード)。現地価格は18万9800元(日本円にしておよそ375万円)だ。
日本ではまだまだガソリン車も多く販売されているが、中国では政府によるNEV(新エネルギー車)補助金や減税免税処置の影響もあり、ハイブリッド車含む電動車の需要が高い。直近(2023年3月度)の中国市場販売ランキングをみても、1位がBYD「Qin」、2位は宏光の「MINI EV」、3位は日産の「シルフィe-POWER」、4位はBYD「Dolphin」、5位VW「ラヴィダ」だ。VWを除いて、ハイブリッド車かPHEV、BEVとなっている。
すでに、政府によるNEV(新エネルギー車)補助金や減税免税処置は2022年をもって終了したものの、省や自治体レベルでは購入補助金が続いているそうで、広州市の場合は、2023年3月1日から12月31日までにハイブリッド車を含むEVの購入手続きを済ませた個人所有者に対し、10~15万元未満の場合は1台当たり1万元(約20万円)、15~20万元未満だと8000元、20万元以上だと6000元の補助があるという。
技術力とブランド力でどれだけ食い込めるか!??
中国では今後も、NEVがどんどん増えていくとみられており、今回のトヨタの2つのBEVに関しても、世界最大の中国市場にトヨタも食い込んでシェアを獲得していきたいという、トヨタの強い思惑が感じられる。
懸念されるのは車両価格だ。bZ3も日本で販売されているBEVと比べれば十分に安い価格だが、前段でご紹介した販売台数ランキング1位のBYD 「Qin」は約13~17万元(日本円でおよそ255~335万円)だし、2位の宏光「MINI EV」も3万元(約65万円)から。4位のBYD Dolphinも約11~14万元(およそ215~275万円)と、bZ3よりもさらに安く、中国現地メーカーと価格競争しても、勝つことはありえない。
トヨタの技術とブランド力で勝負していかなければならないことになるが、中国メーカーがめざましい進化を遂げているなか、技術力とブランド力だけでどこまで通用するのかはわからない。はたしてトヨタは今後も中国市場で存在感を発揮していけるのか!?? 中国市場からは目が離せない。
【画像ギャラリー】上海国際モーターショー2023で、トヨタが世界初公開した2つのバッテリーEV、「bZ Sport Crossover Concept」と「bZ FlexSpace Concept」(6枚)画像ギャラリー
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