実はフェンダーミラーは使いやすかった?メリットデメリットと消滅した理由

デザイン性に加えて、突起物規制によっても、フェンダーミラーは絶滅状態に

 ドアミラーは、ドアに直付けされているので、一体感ある美しいボディフォルムを形成することができます。特に、フロントフェンダーが低いスポーツモデルや、フロントフェンダーが短く傾斜の大きいクルマにとっては、ドアミラーが必須なのです。

 フェンダーミラー絶滅の追い打ちをかけたのが、2001年に保安基準で規定された「車室外突起物規制」です。衝突時など車外の人との接触による受傷を軽減するため、ボディに鋭い突起物がないことを定めた法令で、デザイン性を求めて鋭い形状とした一部のフェンダーミラーは、衝突時に傷害物になる可能性が高く、歩行者保護の観点からも規制が必要とされたのです。

 現在のタクシーにつけられているフェンダーミラーは、鋭利な部分を極力なくし、たとえ衝突してもミラー側が倒れて被害物へ危害を与えない、法規対応構造となっています。また、ドアミラーも突起物ですが、走行時に衝撃が加われば倒れる緩衝構造、かつ停車時には格納できる構造であり、規制をクリアするものです。

 フェンダーミラーにはほかにも、映る画が小さく距離感が掴みにくい、ミラーの角度調整や水滴の拭き取りに手間がかかるといった、ドアミラーより劣る点もいくつかあり、前述したようにメリットも少なくないものの、最終的にはデザイン性に優れるドアミラーが優先された、というのが、現在フェンダーミラーが絶滅寸前となっている理由でしょう。そう考えると、デザインよりも機能を重視するタクシーにはいまも残っていることについても、納得ができます。

1978年にデビューした2代目(S130型)日産「フェアレディZ」、まだフェンダーミラーを装着
1978年にデビューした2代目(S130型)日産「フェアレディZ」、まだフェンダーミラーを装着
1983年にデビューした3代目(Z31型)日産「フェアレディZ」。3代目からドアミラーに変更し、突起物がなくなり、流麗なスタイリングとなった
1983年にデビューした3代目(Z31型)日産「フェアレディZ」。3代目からドアミラーに変更し、突起物がなくなり、流麗なスタイリングとなった

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 ただ、現在はカメラモニタリングシステムが普及してきていることから、今後はタクシーからもフェンダーミラーが消えていくかもしれませんね。もちろん(「ミラー」ではなく)「カメラ」であれば、現状のドアミラーの位置に設置する必要もなく、また、空力との関係もあり、「ミラー」そのものが設置場所や形状だけでなく役割を変えてゆく時期でもあります。どのように変化してゆくのか、楽しみです。

【画像ギャラリー】フェンダーミラーからドアミラーへ!! フェンダーミラーが必要だったモデルや、ドアミラーを国内で初めて採用したモデル、フェンダーミラーからドアミラーへと切り替えられたモデルたち(8枚)画像ギャラリー

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