■平成という時代、日本のクルマ市場は進化したのか?
平成の30年間、クルマに求められる価値観と優先順位は大きく変わった。
昭和の時代、ファミリーカーといえば3ボックスデザインのセダンだったが、平成になると3列シートのミニバンがファミリーカーの主役になっている。
また、週休二日制の定着によってアウトドアブーム、レジャーブームが到来し、ミニバンとともにクロスオーバーSUVが持てはやされるようになった。
デートカーも2ドアクーペやスポーツモデルではない。なんと、乗用車ベースのクロスオーバーカーやミニバンに変わったのだ。また、21世紀の初頭まではワゴンも人気だった。
セダンは影の薄い存在となったが、消費税の導入によって肥大化し、世界中がビッグカーの時代になっている。クロスオーバーカーもハリアーによってプレミアムSUV時代の幕が開け、世界中に広まった。クロスオーバーの流れは今も続いており、多くのカテゴリーが交錯するようになる。
その多くは、元気がよかった時代の日本から発信したものだ。
そして21世紀を前に地球にやさしいクルマも送り出した。それが世界で初めてトヨタが量産化に踏み切ったハイブリッド乗用車である。
プリウスの成功によって電動化に拍車がかかり、平成の最後の10年にはEVのi-MiEVとリーフが登場した。これに続き燃料電池自動車のMIRAIとクラリティFCも発売に踏み切っている。
パワートレインの多様化はクリーンディーゼルも生み出した。速さだけではないクルマの新しい楽しみ方を提案し、電動化の魅力を訴求するようになったのが平成の30年間だ。自動運転の時代が近づきつつあるが、操る楽しさは何物にも代えがたい。
いろいろなクルマに乗れて楽しかったし、愛車に愛着を持てたのだから、平成のカーライフはよかったと言えるだろう。
ではこれからの30年はどうなるのか。
それはまさに私たちがこれから、クルマにどんなものを期待し、どんなものを手に入れるかにかかっているだろう(そのためにまずは購入費や維持費を安く抑えてもらいたいものだが……) 。
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