ほぼ全線走破した交通ジャーナリストが選ぶ！　この夏絶対走りたい絶景の高速道路5選

■その2：海の絶景／瀬戸大橋

　高速道路から海の絶景を楽しむのは難しい。そもそも海岸線間近を走っている高速道路が少ないし、ただ海が見えただけでは、絶景とまでは言えない。海が真横なら、ドライバーはあまりそれを見ることもできない。

　よって海の絶景は、海をまたぐ長大橋にトドメを刺す。橋からなら、正面付近に海が見えるからだ。

　海をまたぐ高速道路の長大橋は、日本に4ルートある。

1／東京湾アクアライン（橋梁部）
2／明石海峡大橋
3／瀬戸大橋
4／しまなみ海道

　どれもすばらしいが、1と2は途中に海を彩る島がない。一方3と4は、海に浮かぶ島嶼美を堪能できる。つまり3と4が決勝進出である。

　島の多さでは4のしまなみ海道がまさるが、大きな島の間を橋で結ぶルートのため、一目で見えるのは全体の一部に限られる。

　その点瀬戸大橋はほぼ一直線なので、すべてを見渡せる。途中4つの島を跨ぎつつ、少し左右に視線を動かせば、これぞ瀬戸内海の島嶼美の結晶。約10キロの絶景を一目で見られるのだから凄い。海の絶景は瀬戸大橋でキマリだ。

■その3：街の絶景／首都高11号台場線レインボーブリッジ

　日本は都市高速が発達した国である。大都市のど真ん中を走る高速道路は、欧米には存在しない。首都高や阪神高速を走れば、高層ビルの谷間を縫う遊覧飛行感覚が味わえる。これは、世界的に見ても稀有な絶景。そのナンバーワンは、レインボーブリッジである。

　レインボーブリッジは、海面から52メートルの高さがあるので、非常に眺めがよく、橋の上からは、都心部から湾岸部にかけての絶景が楽しめる。

　上りは東京タワーや高層ビル群、下りはフジテレビやタワマン群が良く見えて甲乙つけがたい。旅客機の機内から見るマンハッタンの夜景に優るとも劣らないだろう。しかもそれが、わずか数百円で堪能できるのだからうれしいじゃないか。

■その4：田園風景の絶景／関越道南魚沼付近

　日本の田園風景を代表するのは、田んぼの美形。田植えが済み、水を湛えた田んぼは実に美しい。それを最も堪能できるのがここだ。

　関越トンネルを出てしばらくすると、日本有数の米どころである南魚沼盆地に差し掛かる。左右山に挟まれた盆地一面が田んぼ！　この絶景には息を飲む。

■その5：道路構造物の絶景／伊勢湾岸道 名港トリトン

　高速道路には盛り土、高架構造、橋梁、トンネルなどいろいろあるが、見て最も美しいと感じるのは、長大吊り橋で異存ないだろう。橋そのものが絶景である。

　日本最長の吊り橋は明石海峡大橋だが、高速道路上から見て最も美しいと感じるのは、伊勢湾岸道の名港トリトンだ。

　名港トリトンは、名港西大橋、名港中央大橋、名港東大橋という3つの吊り橋（斜張橋）の総称。

　3本が微妙な角度を持つイナズマ型に配置されているため、高速道路上から3本の吊り橋が連続しているのがしっかり見える。それぞれの主塔は赤、白、青に塗り分けられていて実に美しい。周囲の景色はそれほどでもないが、道路構造物の美しさなら名港トリトンが日本一だろう。

　なんだかんだで長大橋が3つになってしまいました。やっぱり橋からの景色はステキだネ！