東京の楽園はクルマに厳しい!? 整備士に誇りと憧れを……日産自動車大学校と自動車評論家がタッグを組んだ!!

■アップダウンが激しい島内道路

たった2年でここまでショルダーのトレッドが減ってしまう。余談だが製品のクオリティは高い大手メーカーのタイヤだ
たった2年でここまでショルダーのトレッドが減ってしまう。余談だが製品のクオリティは高い大手メーカーのタイヤだ

 まず写真を見てほしい。2021年製造のタイヤなのだが、わずか2年ほどでここまでショルダーの溝が減ってしまった。当然前述のとおり走行距離はそんなに伸びていない。車検ごとにタイヤを変えてもこの状態なのだ。

 島の整備工場の方に話を聞くとセンター部のトレッドは比較的残っている車両が多いものの、ショルダーだけがとんどん削れる傾向にあるという。

 その要因のほとんどは島内の特殊な線形をした道路。箱根ターンパイクもびっくりなツイスティな道が続く。勾配は相当なもので、下りなどではかなりGをかけて走行しているドライバーが多かった。

八丈一周道路の線形。舗装は東京都だけあってきれいなのだが、島の地形に合わせた線形はかなりタフだ(AdobeStock_270751274)
八丈一周道路の線形。舗装は東京都だけあってきれいなのだが、島の地形に合わせた線形はかなりタフだ(AdobeStock_270751274)

 空気圧管理など日常点検を含めて、クルマの整備状況を少しでも安全に、確実なものにしたい。そこで八丈島に別邸を構えた自動車評論家の国沢光宏氏が声をあげた!!

 さらにさらに、整備士の養成をする日産自動車大学校とタッグを組み、学生たちを巻き込んだプロジェクトが始まろうとしている(もちろんベストカーも完全協力!!)。

■町役場や町議会議員、そして地元整備工場の協力

穴があくほどのサビも珍しくはない。もちろん気になるのだが、まずは「走る、止まる、曲がる」を確実にできるクルマが増える支援をしていきたい
穴があくほどのサビも珍しくはない。もちろん気になるのだが、まずは「走る、止まる、曲がる」を確実にできるクルマが増える支援をしていきたい

 ザックリとプロジェクトの概要を説明すると、日産自動車大学校の1級自動車工学科(4年制)の学生たちが、実際に八丈島で島民の皆さんに対して日常車両点検を行う。

 学生たちは3年次時点ですでに2級整備士免許を保有しており、国家資格保有者として整備作業をすることができる。

 しかし実際のところは2級整備士の資格があっても、学校保有の実習車を使った学内の授業だけではコンディションにバラツキがなく、実践的な経験ができないという課題が学校側にもあった。

サーキットでの日産メカニックチャレンジでの学びとは少し違った学びが八丈島にはある!!
サーキットでの日産メカニックチャレンジでの学びとは少し違った学びが八丈島にはある!!

 学校側のニーズをヒアリングしていた国沢氏が八丈町議などに呼びかけ、島民の皆さんの車両を点検するイベントを実施するプロジェクトが立ち上がった。オイル残量、ブレーキフルード残量、タイヤ空気圧など日常点検項目をメインに実施する予定だ。

 あとここがミソになるのだが、部品交換が必要な際はカルテを作成し島内の整備工場を紹介する形をとる。定住されている島民にとっては安心した車両コンディションの維持になるし、移住者にとっては「馴染みの工場」を見つけるキッカケになる。

 地場の整備工場と島民の皆さんをつなぐ、島内の交通安全にもつながるイベントということで、整備工場からの許諾、自治体からの許諾も取り付けることができた。なんたって誰も損しない取り組みだ。

 もちろん百戦錬磨のディーラーメカニックを経験した教員もたくさん参加するから、安心感はディーラークオリティといっても過言ではない。今後教員によるテストイベントを実施し、2024年2月には学生たちによる八条島車両点検イベントを開催する予定だ。今後の続報を待たれたし!!

 最後になるが整備士不足は自動車業界のみならず社会的にも喫緊の課題。整備士の賃金を上げることにも注力しつつ、整備士が憧れの職業になってほしいと思う。メディアとしてできることを考えつつこのイベントを応援していきたい。

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