本企画担当は今の愛車のタイヤを最初は2年、2セット目は6年履いたのだが、タイヤはいつ交換するのが最適なのか、走行距離とゴムの寿命などからプロドライバーとしての立場から詳しく語ってもらった。
文/ハル中田、写真/AdobeStock(トビラ写真:ドンピエロ@AdobeStock)、図/ハル中田
■タイヤはいつ交換すべきタイミングになるのか?
タイヤ交換のタイミング。悩みますよね。
すり減ってツルツルであれば問答無用で交換ですが、毎日の通勤に使うのでもなければ実際はそこまで減りません。しかし、タイヤの山は残ってても古くなってきたら「このままで大丈夫かな?」と心配にもなります。
一般的な目安としては「スリップサインが出るか、5年以上経過するか」ではないでしょうか? しかし、実際はスリップサインまで行くと危険性は高いし、逆に場合によっては5年以上でも問題なく使えるのです。
まだ使えるタイヤを交換してしまってはもったいないですし、逆に大丈夫と思っても実はリスクの高いタイヤを履いていても危険です。
走行距離というのもわかりやすい目安になりそうですが、実際はタイヤ銘柄にクルマ、走り方や保管状況によっても摩耗劣化の具合が大きく変わるので実は難しいのです。
大事なのは、「タイヤ自体をよく観察してあげること」。
私はサスとタイヤ開発にも現在は関わり、一方で貧乏学生の頃は廃タイヤや中古タイヤを格安で調達しては走り回ってきました。今回はより理論的&実践的なタイヤ交換の目安を考えてみましょう。
大事なのはタイヤを外見チェックした際の「残溝、ひび割れ、大きなダメージ」。冬タイヤでシビアな雪道を走るなら「年数」も加わります。では詳細を見ていきましょう!
■まずは基本「タイヤの残溝」
溝がまったくないツルツルは問答無用で即交換です。特に残溝が一部でも1.6mm以下になるとスリップサインが出てきてしまい、公道の走行が法律で禁止されています。
では、スリップサインが出なければ問題ないのでしょうか?
いやいや、そんなことはありません。乗り心地や騒音は悪化するし、釘などを踏んでのパンクもしやすくなります。それ以上に怖いのが雨の日のハイドロプレーニング現象。水にタイヤが浮いてしまい、ハンドルもブレーキもまったく効かなくなってしまう非常に怖い現象です。
実際に残溝によって雨の制動距離としてどう変わるのかというと、実際のテスト結果を基にイメージグラフを引いたのが下記。
水深1.5mmは通常の舗装路でやや強めの雨で遭遇するような水深です。残溝5mmを下回ってくると急激に制動距離が伸び始め、スリップサインの1.6mm付近では急激に止まらなくなるのがわかります。
100km/hで走ってたら100m近く止まらないのです。ブレーキを踏んだ瞬間の「ツツーーー」という、あのまったく止まる気配のない滑走感。一度でも味わうと非常に恐ろしいのですよ……。
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