走行距離が少なくても油断禁物なのはわかるけど……タイヤはいつ交換するのが適正なのか?

■身をもって知ったハイドロプレーニングの怖さ

台風一過の箱根でハイドロプレーニングの怖さを思い知ったという筆者(Gina Sanders@AdobeStock)
台風一過の箱根でハイドロプレーニングの怖さを思い知ったという筆者(Gina Sanders@AdobeStock)

 恥ずかしい昔話になりますが、夜な夜な山道ドライブに繰り出していた若かりし頃。よせばいいのに台風一過の箱根の山に出かけたのです。いつもの道をスイスイ走っていると次の右カーブの中ほどに見えた路上河川。

「少しスピード落とせば行けるやろ!」と入っていったら、いきなり「ツツーーー」とまるで左に吹っ飛ぶような感覚で真っすぐコースオフ。めでたく立ち木に衝突して自走不可になったことがありました。

 残溝3mmくらいは残っていて、貧乏学生的には「バリ山だぜイヤッホイ☆」状態だったのですけど、そりゃダメですよね。身をもってハイプレの怖さを思い知りました。

 常識のある皆さんはぜひそんなことはせずに、できれば急激に制動距離が伸び始める残溝4mmくらいでタイヤ交換をしておくのがオススメです。「高速は乗らず近所の日常使いのみ」であればもう少し溝が減るまで乗っても実害は少ないですが、雨が強い時は慎重に運転されるのを強くオススメします。ちょっとでも水深があると簡単に滑ります。

 安全サイドで考えるならば、ぜひぜひ残溝4mmほどで交換してください!

■タイヤ表面のヒビ割れ「深いヒビは即交換!」

タイヤゴム表面のヒビ割れは寿命の証拠。これが出てきたら即交換を!(U4@AdobeStock)
タイヤゴム表面のヒビ割れは寿命の証拠。これが出てきたら即交換を!(U4@AdobeStock)

 次に参考になるのが表面のヒビ割れ。ゴムの劣化とある程度相関があるので、ここで引っかかるとタイヤゴムの寿命と思ってもらっても大丈夫です。

 直射日光や風雨、極端な高温や低温、さらに空気圧不足のまま走るなどの悪い条件が重なると2年目くらいからタイヤ表面に小ヒビが入ります。サイドウォールの文字や模様の周辺部やトレッドブロックの凹み角付近から出てきます。

 しかし、この細かな小さいヒビ割れは、実は表面のみの問題でバーストなどの大きな破壊にはまだ繋がりません。ゴムの劣化代も少なく極端に性能が落ちることもありません。見た目はよくありませんがまだ安心して使えます。

 しかし、このヒビが大きく深くなり、表面ゴムの下のプライカーカスや金属ベルトなどの構造部材に達すると話が変わります。ヒビから入り込んだ水が構造部材とゴムの接着を悪くし、走行中のトレッド剥離やバーストなどの致命的な破壊に繋がります。

 判断に自信がなければぜひ安全サイドで判断ください。タイヤショップに相談に行くのもいい選択肢です。

■中が見えるほどのエグれ、局所的な凸も即交換!

 例えば、縁石に擦るなどで表面のゴムがエグれてしまうことがあります。これもヒビと同じく小さいレベルであればそこまで大きな問題にはなりませんが、大きめの場合は、そして内部構造まで見えてしまうレベルの場合はこちらも重大な破壊に繋がる可能性が高いので即交換してください。

 また、凹みのえぐれとは逆に局所的に凸るピンチカットという症状もあります。これは縁石などの段差を勢いよく超えてしまった時に内部構造が破壊されてしまい、そこから漏れ出る空気圧が表面ゴムを持ち上げることで発生します。

 これも走行をすればするほど破壊が進行してバーストする危険性がありますので、見つけ次第即交換するようにしてください。

■スタッドレスは5年を目安に交換、夏タイヤはケースバイケース

スタッドレスタイヤは5年をめどに新品に交換したい(chihana@AdobeStock)
スタッドレスタイヤは5年をめどに新品に交換したい(chihana@AdobeStock)

 さて、最後に年数について。最初に書いたとおり、タイヤゴムの劣化は温度や湿度、直射日光や空気圧管理などの使用環境と保管環境により大きく変化します。ですので、一概に「何年で交換」とは言えないのが実際のところです。

 平均するとおおよそ5年目から劣化が目立つことも多いですから、あくまで平均値としての5年が目安になるのもわからなくもありません。しかし、実際はこれまで見てきたような問題点がなければ製造から10年モノでも特に夏タイヤならば問題なく使えるのです。

 とはいえ、スタッドレスはもう少し早めに替えたいところ。ただでさえ滑りやすいシビアな雪道で走りますから、ちょっとの劣化も致命的になりかねません。

 国産某大手メーカーをはじめとする発泡ゴム系であればゴムの物理構造で柔軟性を保つので経年劣化が少なく長く使えますが、海外系に多い撥水ゴム系は混ぜ込まれた油分が抜けるに従ってどんどん固くなるので、コチラは確かに5年くらいで替えたいのが正直なところです。

次ページは : ■筆者は8年落ちスタッドレスに、7年落ちサマータイヤを使用

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