■取締役の報酬を決めるのは「報酬案決定会議」
では豊田会長の報酬はどのようにして決められているのでしょうか?
取締役というのは株主が選任するものですから、その報酬についても株主の承認を得なければなりません。取締役が勝手に決めてしまうとお手盛りになってしまう恐れがあるからです。
取締役の報酬は原則、株主総会の承認を経て決定されます。
さらに2021年3月1日施行の改正会社法では、さらに細かく規定されました。それまでは、1/報酬の金額が確定している場合はその金額、2/報酬の金額が確定していない場合には具体的な計算方法、3/報酬のうち金銭でないものについては、その具体的な内容を株主総会決議で決めなければならないこと、になっているのですが、取締役報酬の金額については総額を株主総会で決めればいいとして、各取締役の報酬額は取締役会で決めることができました。
しかしこれでは個々の取締役報酬の決定プロセスや非金銭的報酬に関するルールが不明瞭だといった問題点が指摘されていたことから改正商法では個々の取締役の報酬の中身がどのように決められたのか、その方針を定めることが義務付けられました。
ではトヨタの場合はどのようにして報酬が決められているのでしょうか。
トヨタの場合は2019年6月13日の株主総会で現金報酬枠を年額30億円以内(うち社外取締役3億円以内)、株式報酬枠を年額40億円以内と定め、9名(うち3名は社外取締役)で分けるわけです。
このときそれぞれの取締役にいくら支払うのかを決めるのが取締役会と社外取締役が過半数を占める「報酬案策定会議」です。
取締役会は取締役個人の報酬や決定方針、役員報酬制度の決議、報酬総額の決議などを「報酬案策定会議」に一任しているのです。
「報酬案策定会議」に任せるといっても、豊田会長は創業家一族なんだから、議長でもやって会議そのものを牛耳っているんじゃないか。そんな風に考えておられる方、結構たくさんいるんじゃないですか。
ただ「報酬案策定会議」のメンバーを見ると、ちょっとびっくりさせられます。
2023年4月1日時点では議長には早川氏。取締役からは早川氏とともに宮崎洋一氏、社外取締役からは菅原郁郎氏、フィリップ・クレイヴァン氏、大島眞彦氏、大薗恵美氏が選出されて「報酬案策定会議」が構成されており、そこには豊田会長の名前はないのです。
つまり豊田会長は自分の報酬を自分で決めることができず、部下や外部の視点で客観的に評価することが求められる社外取締役が決定しているのです。
2022年度の社内取締役の報酬は23年4月に開催した「報酬案策定会議」で決定されたものです。
つまり9億9000万円という豊田会長の報酬は本人が欲しいといってそうなったわけではなく、部下たちが社長(豊田氏は2022年度は社長だった)としての仕事ぶりを評価してはじき出した金額だということです。
コメント
コメントの使い方豊田家は今でもトヨタの株式を保有しているはず。役員報酬だけ見れば少ないような気もするが、株主配当の方が役員報酬より多いはずだ。合算すれば数十億円もらっており十分にもらっているはずだ、
章男氏のお陰で、様々な社長クラスがレース参戦を始めたのが嬉しいです。話題造りに終始せず、章男氏の様に継続と市販車還元と、結果に拘って続けてほしい。
給料に関しては、額が大きすぎて感覚が分からなかったです。
日本一の企業なのだから、倍くらいは貰っていても問題ないかと。
むしろ、ルーキーレーシングのオーナーだし、利益はしっかりとモータースポーツに還元している。他社の社長でレーシングチームを持っている方は他にいるだろうか?