見た目はイカツイけど中身は穏やか!? 「狼の皮をかぶった羊」クルマ 5選

自然吸気エンジン搭載のS14型日産 シルビアに走りを求めるのは酷というもの…

見た目はカツカツだけど中身は穏やか!? 狼の皮をかぶった羊が一番いい!!
先代のS13型に比べるとファットなイメージが目についたS14型のシルビア。とはいえ、ターボエンジンを搭載したK’sはFRとの相乗効果も相まって走りの楽しさを提供した

 大ヒットを記録したS13型の後釜として、1993年10月に登場した6代目シルビアのS14型。

 シルビアのスペシャルティカーたるアイデンティティをより強固にするべく“走りの性能”と“スタイルの美しさ”というふたつのテーマにこだわったS14型はスタイリングイメージやグレード構成こそ先代モデルを継承したものの、野暮ったいスタイリングや3ナンバーボディへの移行が災いして失敗作だったと評価されていることは周知の通りだ。

 グレード構成は2.0リッター直列4気筒DOHC 16バルブターボのSR20DETを搭載するK’sと、2.0リッター直列4気筒DOHC 16バルブ自然吸気のSR20DEを搭載するQ’sとJ’sの3つだったが、なかでも不人気をきわめたのがQ’sとJ’s。

 160psの最高出力を発生する自然吸気のSR20DEでは3ナンバーボディへの移行によって1200kg近くまで増えた車両重量をリカバーするだけのパワーや加速力を得ることができず、シルビアを名乗るには到底満足できるものではなかった。

 加えて、S14前期型に採用された全体的に丸みを帯びたデザインもまた、先代モデルの軽快かつスタイリッシュなイメージからはほど遠いものであった。

 そんなS14型は1996年6月のマイナーチェンジでビジュアルを大きく刷新したものの人気回復の起爆剤にはならず……と踏んだり蹴ったりのイメージが強いS14型のシルビアだが、現在の中古車市場ではQ’sであろうと100万円は下らない平均価格で推移するほど人気は高まっている。

スポーツカーに憧れた人には救世主的存在となったユーノス・ロードスター

見た目はカツカツだけど中身は穏やか!? 狼の皮をかぶった羊が一番いい!!
初代ロードスターではあえてターボチャージャーなどの過給を使わず、自然吸気の1.6リッター直列4気筒DOHC4バルブエンジンを採用して人馬一体の楽しさを伝えることを徹底

 ユーノス・ロードスター(初代ロードスター)が国内デビューを果たしたのは1989年9月。

 発売初年は国内で9307台を販売し、翌年にはグローバルで9万3626台の販売する大ヒットを記録。それもそのはずで、当時は170万円台の車両本体価格設定も大きな話題となり、“人馬一体”を合い言葉に操る楽しさを追求したオープンカーならではの爽快感を誰でも手軽に体感することができたのだ。

 とはいえ、ロードスターが搭載していた1.6リッター自然吸気エンジンは最高出力120ps、最大トルクも14.0kg・mと控えめなスペックで悪くいえば非力だった。

 1989年といえばハイパワーな1.6リッターのエンジンを搭載した、いわゆる“テンロクスポーツ”が活況を呈していた時代。

 トヨタにはAE92型のカローラレビン&スプリンタートレノ、ホンダにはインテグラにグランドシビックにCR-X、三菱にはミラージュサイボーグ、マツダにはファミリア、いすゞにはジェミニ……といったように、非力なロードスターではとても太刀打ちできないようなハイパワーモデルが世に溢れていた。

 しかし、あり余るパワー&トルクでコントロールしづらいスポーツカーが多かったこともあって、ロードスターの“軽さは正義”と言わんばかりの軽快で素直な運転感覚は、まさに人馬一体でクルマを操る楽しさを提供。

 FRという駆動方式とも相まって“ライトウェイトスポーツカーの持つ本質的な魅力”を世に知らしめた。

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