昭和のクルマにゃ約束だった! 藤原豆腐店のハチロクに書いてある「自家用」って何よ?

昭和のクルマにゃ約束だった! 藤原豆腐店のハチロクに書いてある「自家用」って何よ?

 走り屋漫画の金字塔「頭文字(イニシャル)D」で藤原拓海が乗るハチロクには、ドアに「自家用」という文字が書かれている。確かに昭和のオジサン世代が子どもだったころは、近所のスーパーのハイエースに同じ文字が書かれていたのを覚えている。なんで「自家用」と書く必要があるのか。真相を調べてみた。

文/ベストカーWeb編集部、写真/Adobestock、ベストカーWeb編集部

■お金を取って人を乗せるクルマと区別させるため

自家用という表記は「お金をもらって人を乗せません」という印
自家用という表記は「お金をもらって人を乗せません」という印

 いきなり答えをいうと、法律で記載が義務付けられていたというのが正解。昭和26年に定められた「道路運送法」という法律の第九十五条に、以下の記載があるのだ。

「自動車(軽自動車たる自家用自動車、乗車定員十人以下の乗用の自家用自動車、特殊自動車たる自家用自動車その他国土交通省令で定めるものを除く。)を使用する者は、その自動車の外側に、使用者の氏名、名称又は記号その他の国土交通省令で定める事項を見やすいように表示しなければならない」

 なんでこんな決まりがあるのか。それには「道路運送法」の意図を知る必要がある。

 同法を簡単にいうと、お金をもらって人を乗せるバスやタクシーといった事業(旅客事業)を管轄するために作られた法律。当然そこでは、旅客事業を行えるクルマを定義する必要があるのだが、そのために「有償で人を乗せないクルマは、それを明示せよ」というルールが作られ、結果「自家用」という表示が誕生したのだ。

 ここまで読めばお分かりかと思うのだが、ここでいう「自家用」というのは、一般的にイメージされる「個人が所有して私用に使う車両」ではない。「有償で人を乗せないクルマ」のことだという点に注意したい。つまり、バスであっても社員の移動などに使う車両は、「事業用」ではなくて「自家用」となるのだ。

■今でも人気の「自家用ステッカー」

自家用ステッカーはネットでも人気(AMUZ@Amazon)
自家用ステッカーはネットでも人気(AMUZ@Amazon)

 それではなんで現在のクルマには「自家用」と書かなくていいのだろうか。

 これは、冒頭に書いた道路運送法の条文をよく読んでいただけばわかる。再掲するが、以下のような但し書きがあるのだ。

「軽自動車たる自家用自動車、乗車定員十人以下の乗用の自家用自動車、特殊自動車たる自家用自動車その他国土交通省令で定めるものを除く」

 つまり、法律が変わったりしたのではなく、軽自動車や定員10人以下の乗用車などは、当時から自家用と書かなくてよいというルールだったわけだ。藤原

 それにしても想像してほしい。この条文の例外規定がなかったらどうなっていたか。フェアレディZを買っても、アルファードを買っても、フロントドアの下に「自家用」と書かねばならないとしたら、カーデザイナーのモチベーションもダダ下がりだったはず。ディーラーには「自家用ステッカー」が何種類か用意されていて、「こいつは書体がかっこ悪い」などと悩んでいたに違いない。

 いっぽう逆に、「自家用」を懐かしがるユーザーも存在している。ネットショップでも「自家用ステッカー」は多数販売されているから、愛車に貼って昭和を思い出すのもありだろう。

【画像ギャラリー】カスタムの素材と考えれば「自家用」はかっこいい!(5枚)画像ギャラリー

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