■擬似サウンドの演出も楽しい穏やかな大人の走り
レクサスは2030年までにバッテリー電気自動車(BEV)でフルラインナップを実現し、2035年にはグローバルで100%BEVにすることを目指している。その最初の作品となったのがレクサスRZだ。メカニズムの多くはbZ4Xだが、ツインモーター4WDだけとし、4輪駆動力制御の「DIRECT4」も採用した。
また、エクステリアも専用デザインだ。bZ4Xよりひと回り大きく、フロントマスクも風格がある。インテリアは意外にオーソドックスだが、センターディスプレイなどは見やすいし、操作性も悪くない。ステアリングに設けられたパドルスイッチで簡単に回生ブレーキの強弱を変えられるのもいいところだ。
ツインモーター4WDは、bZ4Xよりフロントのモーターを大幅にパワーアップしている。だが、海外のライバルのようにモーター特有のトルクが湧き出る鋭い瞬発力を感じさせない。そうは言っても、その気になれば俊足だし、擬似サウンドの演出も面白いと思う。
また、フレキシブルで、静粛性も高いなど、穏やかな大人の走行フィールだ。乗り味を含めレクサス流のプレミアム感を上手に演出している。
直接のライバルは、同じ土俵にいるドイツのプレミアム御三家のBEVやボルボXC40リチャージなどだろう。最低地上高はもう少し下げてもいいと思うが、デザインの洗練度と個性は一歩リードしている。走りの実力も負けていない。
ただし、BEVで多くの人が気にする電費は物足りなく感じた。BMWなどは驚くほど高速電費がいいから航続距離も安心感がある。
●片岡英明の採点チェック
・ハンドリング:9点
・加速性能:8点
・静粛性:9点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:6点
(TEXT/片岡英明)
■走りの質感の高さなど個性が光る!
事実上はbZ4Xのレクサス版であるRZ。つまりはBEV専用モデルというわけだ。「BEVならば見た目だけで味付けなどは大して変わらないのでは?」という予測があったが、実際はまるで別モノ。五感に訴えてくるものがある。
デザインだけでなくさまざまなインパクトを与える要因のひとつはリアタイヤを20ミリもサイズアップしたことだろう。見た目の安定感とともに、走りもドッシリとした感覚を与えてくれる。そこに駆動力配分を積極的に入れているところが面白い。
ターンインまでは75:25、ターンアウトはリアに駆動力を与えていく「DIRECT4」のセッティングは、旋回初期のノーズの入りからコーナー脱出の強烈なトラクションまで自然な流れ。
周波数感応型のショックアブソーバーや剛性アップを果たしたボディとともに、一体感あふれる走りを展開してくれる。bZ4Xに比べればかなり骨太。走りに貪欲なレクサスらしさが光っている。
一方でインテリアはステアリングに採用したもち肌感覚の新開発・高触感合皮の採用や、ASC(Active Sound Control)による心地よいモーター&インバータサウンドのおかげで快適性がありつつドライビングを楽しめる。
懸念材料に感じたのは発売を見送っているステアバイワイヤの存在だ。快適性重視でステアリングインフォメーションを消し去ったことや、リニアさに欠ける切れ込み具合が違和感の塊でしかなかった。見た目のインパクトは充分なだけに、問題をクリアして登場することを期待する。
●橋本洋平の採点チェック
・ハンドリング:8点
・加速性能:7点
・静粛性:8点
・内外装の質感:9点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:6点
(TEXT/橋本洋平)
【画像ギャラリー】走りだけでなく内装の高級感もスゴイ!! レクサス RZの写真はこちら!(21枚)画像ギャラリー
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